【規格外】馬鹿デカイ女ってどうですか?《大喜利コラム(吉田潮)vsマンガ(地獄カレー)期待しないでいいですか?③》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【規格外】馬鹿デカイ女ってどうですか?《大喜利コラム(吉田潮)vsマンガ(地獄カレー)期待しないでいいですか?③》

今回のお題・・・規格外

◼️大きいことは得なのか損なのか

 大きいことは得なのか損なのか。背の小さい友人は言う。

 「結局、パンツは丈を詰めなきゃいけない。同じ金額を払っているのに、布が切り落とされるし、デザインも崩れる。手首や足首が露出狂のほうがいいじゃないか」いやいや、脚が入るだけでもありがたいと思えよ。

 「満員電車に乗ってもきれいな空気が吸えてうらやましい」

 いやいや、ちょうど人様の頭皮の匂いを嗅ぐ位置がうらやましい?

 それでも、大きいことで最大に得をしたと思うのは「なめられない」ことである。自分よりも小さい者や弱そうな者をいじめたり、攻撃してくる卑劣な輩が多い世の中で、とりあえず体が大きいというだけでアドバンテージだ。「女子」と呼ばせないだけの迫力もあるし、今の今まで物理的にも精神的にもなめられることが少ない人生を送ることができた。女性に求められがちというか、押し付けられがちな「かよわさ」「はかなさ」「かわいげ」と無縁で生き延びてこられた自分に拍手を送りたい。

 十数年前、女性誌のライターをしていた頃、編集者から誘われた。身長170㎝以上の女が集まる飲み会をやるという。その名も「デ会」。編集者やカメラマン、ライターなどで8人ほど集まった。名刺交換とともに身長を確認し合い、すぐ打ち解けた。同じ身長の女性と会ったのも初めてだった。

 ここぞとばかりにハイヒールで来た人もいた。普段履きたくても、170㎝以上あるとさらにデカくなる。日常では封印してきたが、今夜は心置きなく履けるという。

 「今度は全員がひとりずつ、手乗りメンズ(小さい男性)を連れてこよう!」

 とお開きに。なぜそういう話になったのかは覚えていないが、身長を気にする狭量な男性に気を遣うことに疲れたから逆手にとる、みたいな流れだったと思う。「大きく見せたがる男に小さく見られたい女」の文化が強い日本で、私たちは心のどこかで常にちぢこまって生きていた。肩幅はあるのに肩身の狭い思いをしていたのだ。

 でも、ちぢこまったつもりでも実際には小さくならない。もう開き直って、背すじ伸ばして、堂々とヒールで闊歩すればいい。「大きくたっていいじゃないか」とプライドを保つためにも7㎝ヒールを履いていた時期もある。30代。若かったな……。

 今? ヒールはほとんど履かなくなった。外反母趾と腰痛がひどいという、しみったれた結末である。いや、ヒールに頼らなくても、女のプライドは保てると知ったから。要するに、大きかろうが小さかろうが、人生の質や幸福度に影響はない。小さな男も大きな女も堂々としていればいい。大きいことを勝手にネガティブにとらえていたのは、自分の度量の狭さであり、器の小ささでもあった。

 体のコンプレックスを克服するには、自分の否定をまずやめること。人様から肯定的な言葉をいくらもらっても、根っこで自分が否定していたら一生克服できない。親や家族、会社や社会から否定されたとしたら、全力で自分を肯定したほうがいい。

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/



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