したたかで強引な中国と<br />日本はどうやって付き合うべきか?<br />ビジネスマン必読の中国事情 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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したたかで強引な中国と
日本はどうやって付き合うべきか?
ビジネスマン必読の中国事情

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

 毛沢東が登場した後も、国共内戦、反右派運動、文化大革命、天安門事件と、ほとんどの時代を中国人民は安穏と暮らせなかった。その結果、中国人は無意識に政治的風向きに合わせて、より強い者に従い、自分より弱き者に矛先を向けて自分を守らざるを得なかった。価値観や信念といったものは時にじゃまで、そういったものを臨機応変にすげ替え、時に恩人も友人も家族ですら裏切らねばならなかった。

 その行動に不条理や矛盾や挫折を感じても、自己分析したり反省したりせず、自分自身に言い訳をして自分を納得させて、〝精神的勝利法〞で乗り越えていかねばならなかった。作家・魯迅の『阿Q正伝』は、実際、そうした漢族の性格の典型のようなものをよく描きだしている。

 こうした歴史も関係して、中国人には信念・思想・信仰など精神のよりどころとなるものを持っている人が非常に少ないということも、日本人は心得ておくべきだろう。

 愛国的に見える人も、その愛国心は絶対的ではなく、チャンスがあれば外国籍をとって中国から距離をとって生きたいと考えている。官僚の多くが、国が危機に直面したとき、どのように国、国民を救おうかと考えるのではなく、どのように財産と家族を国外へ脱出させるかを考えている。

※福島香織著新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』発売記念、緊急集中連載。

 

著者略歴

福島香織(ふくしま・かおり)

1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。共著も多数。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』がベストセラーに!

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