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【指示役4人逮捕】なぜ彼らは割に合わない「闇バイト」に堕ちてしまったのか?「ホワイト案件」が入口に

▲なぜ簡単に闇バイトになぜ堕ちてしまうのか?

去年10月、千葉県の民家に押し入って住民女性を脅して、重傷を負わせ車などを奪った強盗事件。その指示役の20代の男4人が逮捕された。この事件も手駒は、「闇バイト」で集められた者たちだが、実際に報酬を受け取ったのは逮捕された38人のうちわずか数人ほどだったという。強盗は刑事罰が重く初犯でも実刑は免れない。どう考えても割に合わないが…実行犯たちは「ホワイトバイト」を入口に誘い込まれた可能性が高い。一見合法に見える求人から犯罪の世界へ誘い込まれる若者たちの実態に迫る。


 

■SNSに跋扈する「ホワイト案件」

 

 首都圏で相次ぐ強盗事件。実行犯の多くがSNSを通じて集められた「闇バイト」たちである。なぜこんなにも安易に闇バイトに手を出してしまうのか? 首をかしげる向きも多いだろう。どうやら「闇」には手前の入口があり、そこから誘いこまれてしまうようだ。

 それが、Xや大手求人サイトに掲載されることもある「完全合法」「ホワイト」案件。具体的には「携帯やインターネット回線の契約」「購入代行」といった名目で人を募っているものだ。中にはau、docomo、ソフトバンクなど大手通信会社と提携しているような書きぶりの求人もあり(しかも求人票つき!)、一見してヤバい仕事とはわからないようになっている。今回の闇バイトとなった実行犯には20代の若者が多い。社会人経験が浅い若者たちが違和感に気づくのは難しいだろう。

 

▲「ホワイト案件」の求人票

 

 こういった案件では、各キャリアや家電量販店からキャッシュバックやギフトを受け取れたり、報酬代わりに携帯の「月々の通信費」を負担してもらえる(※上の求人票参照)とされる。しかし結局は契約・購入代金を背負わされたり、自分名義の回線が闇仕事に悪用されてしまうだけだ。

 

■個人情報を抜かれ、凶行に走る

 

 さらに怖いのは、ホワイト案件を通じて犯罪者集団に自身の個人情報を握られてしまうことだ。「最近の傾向として、こういったギリギリ合法な案件で人を集めて、応募者の個人情報を探っていくんです」と裏社会に詳しいライターの神里純平氏は言う。ここから闇仕事が振られる可能性がある。続けて流れを解説する。

「最初はモノを運ぶだけの仕事、とだけ言われ喫茶店などで面接が行われます。様子がおかしいなと仕事を断ろうにも、面接官に集団で脅され、身分証も抑えられてしまいます。ちなみにこの面接官も闇バイトで集められた人たちです。応募者が個人情報を抑えられているのでバイトに行かざるを得ない。そしてバイト当日になると、雇い主(指示役)が豹変します。行くはずの現場は変更になり『今回の仕事は空き巣だ』と言われます。『話が違う』と抗弁しても、『やるかやらないかはお前の自由だけど、お前はメンバーの顔を見ているから殺すからな』とまた脅されるだけ。そして家につくとさらに話が変わります。『(空き巣ではなく)もしかしたら中に人がいるかもしれない、その時はやっちゃってください』と指示されるのです」

 “やっちゃう”の意味は直接説明されないが、正常な判断力を失っている応募者は気がつけば手にバールを持ち……凶行に走ってしまう。一見無害な求人から、若者たちが闇に引きずり込まれてしまう。この問題の解決には、入口となる「ホワイト案件」の徹底的な監視なのは言うまでもない。

 ただし、また違うものが闇バイトの隠れ蓑になる可能性があるようだ。

「最近SNSで話題の“光案件”って知っていますか?これは、インフルエンサーなどが自分の困り事を解決してくれたら多額の謝礼を払います、という“ホワイト”どころではない条件の案件のことです。今後この“光案件”を装った闇バイトも増えるはずです」(神里氏)

 いたちごっこは続く。

取材・文:BEST T!MES編集部

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