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当時は画期的だった新幹線の冷水器と紙コップ

知っていますか?喉を潤せた新幹線の車内の逸品!!

 日本が世界に誇る新幹線の歴史もすでに50年以上!

 新幹線の「すごい!」を集めた新刊『新幹線はすごい』より、開業時からあったサービスのお話をご紹介します。

 普通車、グリーン車を問わず、かつて新幹線の車内に必ず備わっていたのもがあります。

 冷水器と紙コップです。日本は、安心して水が飲める国として世界中に知られています。駅の水道水は飲用できますし、最近は少なくなりましたが地下鉄には冷水器がある駅もあります。

洗面所の一角にあった冷水器。ボタンを押して紙コップに注げば「冷たい水」をいつでも飲むことができた。紙コップ用のホルダーが内蔵してある。

 しかし、ミネラルウォーターのペットボトル飲料が普及すると、近年、水は購入するのが一般的になりました。

 新幹線では開業時から車内サービスとして、奇数号車の東京側にある洗面所の一角に、冷水器と紙コップを設置していました。新幹線が初めてです。紙コップは薄く平たい小さな封筒型で、開いて中に冷水器の水を注ぐというアイデア品です。この「封筒型紙コップ」は、東京の「丸ノ内紙工」というメーカーが東海道新幹線開業に合わせ開発したもので、のちに在来線の優等車両にも普及します。

 最初は上手に飲むことができないのですが、すぐにコツを覚え、冷たいおいしい水を車内で飲め、ホッとひと息ついたものです。

 当時は新幹線に乗ることが自慢でもあったので、ちょっとした優越感にも浸れました。

 猛者はこの紙コップで、したたかにウイスキーの水割りを嗜んだそうです。

 紙コップは乗務員も利用しました。水を飲むためではありません。車掌はつり銭を入れる袋として、つり銭を多量に使用する車内販売員は、まれに起こるつり銭不足の際の緊急メモ用紙(当該乗客の座席番号、号車、下車駅を筆記)としてポケットに携帯しました。

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斉木 実

さいき みのる

1963年、東京都生まれ。多摩芸術学園写真学科(現・多摩美術大学美術学部2部)中退。嘱託カメラマン、スタジオアシスタントなどを務めるかたわら、鉄道写真に取り組む。現在は鉄道写真作家として鉄道誌や旅行誌のほか、幅広いメディアで活動。車両や駅などの本質をとらえ、精細に作画表現するのをライフワークとする。米屋浩二との共著で『ニッポン鉄道遺産』(交通新聞社)や『ローカル線を旅する本』(KKベストセラーズ)、池口英司との共著で『知られざる鉄道遺産 首都圏 』(交通新聞社)がある。


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