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万が一を想定した秋山真之は
秘密兵器の使用を策謀す

日本海海戦と東郷平八郎 第9回

5月18日、鎮海湾にいる東郷平八郎司令長官のもとに「バルチック艦隊がインドシナ半島を離れた」との連絡が入った。東郷司令長官はかつてイギリスの商船学校で学んだことがあり、海運にも詳しかった。輸送船を伴った大艦隊が燃料のかかる太平洋側を回り、狭い津軽海峡を通るような無謀な真似はしないと読んでいた。しかし何事にも絶対ということはない。

 秋山は万が一の場合も想定し、バルチック艦隊との決戦のために用意していた秘密兵器の連繋機雷を改良し、津軽海峡でも使用する作戦を立てていた。連繋機雷は4つの機雷をロープで100メートルごとに繋いだもので、艦艇の艦首に一部が引っかかると、機雷が引き寄せられて艦体に触れて爆発する。

 肝心のバルチック艦隊は台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を通過後、行方がつかめなくなっていた。艦隊の航行速度から考えると、そろそろ哨戒船に発見されてもおかしくはない。

 

 

 

 

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松田 十刻

まつだ じゅっこく

1955年、岩手県生まれ。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞記者、「地方公論」編集人を経て執筆活動に入る。著書に「紫電改よ、永遠なれ」(新人物文庫)、「山口多聞」(光人社)、「撃墜王坂井三郎」(PHP文庫)など。


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