Scene.17 みんなで歌って踊れる本屋だぜい! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Scene.17 みんなで歌って踊れる本屋だぜい!

高円寺文庫センター物語⑰

「店長! わかっとると、中島らもさんばいねぇ・・・・大作家ばい、なんてご挨拶したらよかと?!」

「内山くん、どぎゃんもこぎゃんもなかと。

四丁目カフェには、らもさんにわかぎゑふさんと双葉社の皆さんが待っちょるけんが~当たって砕けろばい」

「えんかいなぁ~店長が、それで」

ってな、会話をしていたら四丁目カフェは店からすぐなので着いてしまった! 空気を読む間もないよ。

らもさんを挟んで、双葉社の営業さんと編集さんが緊張の面持ちで固まっているのはすぐに見て取れた。

「あ! らもさん、それってAK(アーカー)じゃないですか?!」

ご挨拶もなしに、らもさんが来ていたTシャツに突っ込みを入れてしまった!

「よぉ、知っとんなぁ~リリパットアーミーのTシャツやん」

すいません、らもさん。そんなこととは露知らず、単にミリタリヲタクで喰いついてしまった16年後のごめんなさい!

大量のお客さんの動線として、レジで本を購入後に真反対の文庫棚まえに座って戴いた

リリパットアーミーとは、らもさんとわかぎゑふさんが旗揚げした劇団で笑殺軍団リリパットアーミーのこと。

1986年結成のメンバーにはキッチュ松尾貴史、漫画家ひさうちみちおが加わっていたのも知らなかった。

ソヴィエト軍の1947年式カラシニコフAK-47自動小銃を、Tシャツの胸にあしらった下にリリパットアーミーのロゴがプリントされていた。その所以を聴いたはずなのに、覚えてないな・・・・。

双葉社からの新刊、『あの娘は石ころ』発売記念サイン会。お客さんは、サイン会としては空前絶後の130人!初対面でいきなりの不躾な話にも、穏やかでのんびりな語り口のらもさんは優しかった! 機関銃のように喋りたてるお笑い芸人の関西弁がなじみ深いが、らもさんのほんわかのほほんとした関西弁は耳にも心地良かった。いまさらながらの、感謝です。

らもさんと、ゑふさんのサイン本。これを130人のお客様に!ありがとうございました。

長時間にわたったサイン会を、嫌な顔ひとつされずに最後までやり切ってくれた中島らもさんと、わかぎゑふさん。最後のお客さんにサインが終わると、自然に湧きあがった拍手! お客さんもスタッフも、お二方の人柄に感服した証だったんだろう。

「店長、ありがとうございました。

打ち合わせでは、らもさんが寡黙な方でなにを話してよいかわからず。店長のAK突っ込みで、一挙に打ち解けられましたよ。

らもさんもゑふさんも、ご機嫌でサイン会が終わってよかったです」

双葉社の営業さん、安堵の表情も忘れられないな。

恒例となった、サイン会を終えての集合写真。お客さんの殺到に備えて、バイトくんも総動員で臨んだ。

 

 

 

 

 

アタマの中には、Stevie Wonderの「Stay Gold」が流れる。

Scene.17 みんなで歌って踊れる本屋だぜい!

 

「内山さん、遅刻だからたこ焼き買ってきてね」

「なんばい、さわっちょ! 自分の方が遅刻多かろうが」

人件費がポイントの本屋で遅刻はご法度と、遅刻のペナルティにたこ焼きを買ってきてみんなで食べることにしていたが効果ないな・・・・楽しんでいるじゃん!

プルルルルって受話器を取ったら「サイン会のご提案なんですが?」と、メジャー版元からの打診だった。

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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