Scene.15 熱い風に、灼けるって! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

Scene.15 熱い風に、灼けるって!

高円寺文庫センター物語⑮

「本屋さん、これ大麻って書いてありますけど。キクんですか?」

「よく見てよね。それには仕入先の大麻堂がハーブと書いているでしょ、キクわけないじゃん」

「ホントかなぁ? 買ってみよう」

「絶対に大麻じゃないし、キクわけないからね。雰囲気だけ楽しんで!」

高円寺のお客なら黙って買って行くのに、高円寺観光客のお兄ちゃんたちはあれこれ聞いてくる。ま、文庫センター的なんちゃって商品なんだけどさ。

下北沢にある大麻堂への仕入には、見物かたがたバイトくんのすずもっちを連れていった。

早速、個人的に買って試した彼の反応が「なんとも、ふがふが。これが800円で売れるのはおいしいっすよ」

「だろ。仕入原価と利益率から、本の利益に比べてみなよ」

「電卓ないから、無理っす」

ま、好奇心旺盛な彼でテスト済み&キクわけないの保証済み!

そんな大麻堂のオーナー麻枝光一さんが、幻冬舎から文庫を出したというのでイベントにトークショーを頼んでみた。

文庫のタイトル『マリファナ旅行記(上・下)』から「マリファナ青春旅行 それから~大麻堂編」。

チケット、1000円にしてよかったのかな? これほどディープなイベントに来客数はと懸念していたが、会場の高円寺社会教育会館には34人も押し寄せた!

幻冬舎の文庫担当さん共々、安心した。イベントの収益は独立会計にしていた。これまでの繰越金があったので、なんとか黒字になってよかった。

麻枝さんがお客さんに、インド茶まで振る舞ったイベント。麻枝さんのトークをスタッフは、どう感じていたのか?

ボク的には、「伊勢神宮のお札が、大麻の葉だよ」のトークが、忘れられない。そう言えば、「いつか、日本大麻党を作るんだ」ってニコニコ語ってなぁ。

尖っていそうな存在なのに実際は脱力系、でもコアな部分も垣間見えて楽しい方でした。

そうそう、内山くんが店番をしていた時の話、あのレジェンド・ミュージシャン山口富士夫さんが来て「大麻じゃなくて、ハーブか・・・これ、キクの?」

後日のライブで内山くん、対バンになった楽屋でスッパァ~って吸っている富士夫さんに遭遇したという。

「あ! これハーブ! ハーブ」。

 

アタマの中には、Jimi Hendrixの「Hey Joe」が流れる。

Scene.15 熱い風に、灼けるって!

 

本屋で修羅場だと思ったのは、この日しかない。

開店前なのに、店の電話は鳴りっぱなし! 受話器を置けば、またすぐに鳴る。置けば鳴るの繰り返しで、本店への通常連絡電話もかけられない有様!

取次店から送られてきた荷物を荷解き検品どころか、レジに開店準備のタネ銭を入れることもできやしない。

普段の日常だろうと思っていたから、内山くんとりえ蔵の三人体制で開店準備を遮二無二やり切った! さわっちょは、交代休か・・・・。

「シャッター開けて、開店するぞ!」

っと途端に店内には、高円寺スタイルと違うお兄ちゃんたちが押し寄せてきた。これは、いつものディフェンス・スタッフじゃやりきれないと遊軍の京子っぺに助っ人を頼むにも、鳴りっ放しの電話は使えない・・・・あいつは携帯持ってない。

レジには、漫画家井上三太さんのブランド「サンタスティック・ウエア」のパーカーやTシャツを買い求める喧騒に、内山くんとりえ蔵が貼り付き状態になってしまっているじゃないか!

「店長! なんばい、こりゃ・・・・」

オススメ記事

のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


この著者の記事一覧