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政府の一斉休校要請に対する「反乱」が、学校現場の変化につながるかもしれない

【第16回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■399校=休校措置をとらなかった学校(※3月4日午前8時現在)

 2月27日に安倍晋三首相が、新型コロナウイルス感染症対策本部で発表した「全国一斉休校の要請」が様々な波紋を呼んでいる。しかし、これによって上意下達であった日本の教育界が変わっていく可能性もありそうだ。

 3月2日の参議院予算委員会で萩生田光一文科相が「臨時休校要請要請」について、当日に知ったことを明らかにした。
 要請当日の2月27日、午後1時半に萩生田文科相は文科省の藤原誠事務次官とともに首相官邸を訪れ、「誰もが有給休暇を取得できるわけではありません。共働きやひとり親家庭への対応が必要です。産業界とも協力しないといけません」と要請を見送るよう説得したという。しかし、その4時間後に安倍首相は要請に踏み切った。
 そして翌日の28日付で文科省は、藤原事務次官名で「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業について」という「通知」を出して、全国一斉休校の方針を示した。3月2日から春期休業の開始日までの休校を指示したのだ。
 従来であれば、文科省の指示を受けて「全国一斉」に休校に突入したはずである。ところが今回は、かなり状況が変わっていた

 文科省が、3月4日午前8時時点での休校実施状況を発表している。それによれば、県としては埼玉県が管轄下の特別支援学校36校を、さらに島根県は高校35校と特別支援学校12校を休校としないこととした。県としての決断は、この2県となる。
 そして小中学校を管轄する市町村としては、兵庫県小野市や沖縄県石垣市をはじめ20市町村が316校(小学校227校、中学校89校)の休校措置をとらない方針を示していた。政府や文科省からの要請、つまり「命令」に逆らったわけだ。

 上意下達が徹底している業界において、これはもはや「反乱」である。

 政府・文科省からの休校要請が出る前に、教員から休校措置を求める声もあった。それに、「文科省や教育委員会から指示が出ていない」とか「うちだけが休校するわけにはいかない」と、決断できない校長が少なからずいたという。これまでの教育業界では当然といえば当然である。
 しかし、今回は「上意」があったにもかかわらず、それに従わない現場が出てきたわけだ。突然の休校要請も前代未聞だったが、この反乱はそれ以上のインパクトだと言える。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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