3月6日発売の歴史人2020年4月号「日本史の謎100」。本誌では残念ながら掲載できなかったいわゆる「こぼれ企画」の記事をWEBにて限定公開!

 今回は「先出し」記事でも紹介した「歴史研究」の過程で内容すら審査されなかった「新説」についてご紹介。歴史研究の裏側に迫る!

■日の目を見ることなく消えてしまう「新説」もある?

写真を拡大 一般的な「新説」が生まれるまでの流れ( 歴史人2020年4月号「日本史の謎100」P12-13掲載)

 全身全霊を込めて執筆し、投稿した学術論文。しかし、ケースによっては、ほぼまったく読まれることなく、投稿者の手元に帰ってくることも少なくない。その多くは、投稿規定違反(論文投稿に際して守るべき規則)だ。いくつか例を確認しよう。
 論文には必ず字数制限がある。最大でおおむね2万字から2万8千字くらいまでが多いのではないか。筆が進んで書きすぎてしまい、字数を確認しないまま、超過した字数で論文を投稿するとアウトだ。「字数が多すぎます」ということで返却される。
 地図や表などの図版の点数も同じ。だいたい3点以内などと決められている。こちらも点数を超えて投稿すると、「図版が多すぎます」ということで返却される。また、最近の学会や研究会は会員数の減少など原因で予算が乏しいので、作図をしてくれないことも。そういう場合は、自分で地図や表を作らねばならない。
 さらに、全体の統一を図るために、注記する文献の表示方法まで定められていることがある。たとえば、著者名「論文名」(『収録雑誌名』巻号数、刊行年)といった表示法だ。これを守らず、自分独自の方法で文献を表示すると、「投稿規定に従って注の表記を修正してください」と戻ってくる。
 極端な例では、あまりに誤字脱字が多いので返却ということがある。人間誰しも間違いがあるものの、さすがに限度がある。査読者が読み進めるうちに、執筆者が推敲を満足にしていないからか、あまりに誤字脱字が多いと即返却。「きちんと誤字脱字を直してから投稿してください」ということになる。査読者は校正者ではない。
 また、執筆者が悪いわけではないが、査読者がズボラをして、いつまでたっても論文を読まずに何年も放置している例がある。最悪な場合は、紛失したということも。そのため掲載が遅れて、編集部が投稿者に平謝りすることがある。さすがに数年も経過すると、その間に関連する研究論文が公表されることがある。だいたい査読者は、遅くても半年を目途にして、査読を終えることが多いようだ。
 実は、私も『十六世紀史論叢』『研究論集 歴史と文化』という研究誌を刊行している。もっとも困るのは、パソコンの技術が未熟な方。実際、私がすべての編集業務を行うが、文章があっちこっちブツ切れになったデータ、不完全な図版などがあると、作業時間が恐ろしいほどかかってしまう。ワードやエクセルなどの必要最低限の知識を持っておきたい。
 ついでに言うと、校正時の大量の修正もよろしくない。「いったい、最初の原稿は何だったんだ!」ということになる。
 したがって、論文を書くときは内容がもっとも重要であるが、執筆前に必ず投稿規定を熟読して、それぞれの学術誌に合わせた形で投稿することが重要だ。