急逝した野村克也夫妻や多くの有名人の命を奪った心臓の病。心臓血管研究所・所長の山下武志氏によると、心血管疾患においては「無関係そうな症状ほど危険」だという。中でも特に注意したい4つの症状のうち「むくみ」「広範囲の鈍い胸痛」の解説を、山下氏の著書『心臓・血管の病気にならない本』(KKベストセラーズ・2/27刊)からお届けしよう。

「靴下の痕」がついていたら心不全の恐れ

 もっとも危険な症状が失神なら、二番目に危険な症状は「靴下の痕」です。足首に靴下の痕が残っていたら、心臓が危険な状態かもしれません。

 靴下の痕がいつもよりくっきり残るのは、脚がむくんでいるためです。

 なぜ脚がむくむのでしょうか?それは、尿を作っている腎臓の機能が低下し、水分を十分に排出できなくなっているためです。

 そして、腎臓の機能低下の原因が心臓にある場合は少なくありません。心臓が不調になる「慢性心不全」によって腎臓に十分な血流が行かず、腎臓の機能が低下するのです。

 心不全という言葉はよく聞くと思いますが、ひとことで言えば「心臓が不調になり、十分な血液を送り出せていない状態」になることです。

 一般的な心不全のイメージは、ある日突然「うっ」と胸が苦しくなる……というものだと思いますが、これは「急性心不全」です。心不全には急性のものとは別に徐々に悪化する慢性心不全があり、むくみを引き起こすのは慢性心不全の方です。ただし、慢性心不全になれば必ずむくみの症状が現れるとは限らないので注意してください。

 このように慢性心不全を原因としたむくみがあるのですが、もちろん、心臓に問題がなくても腎臓の機能が低下して脚がむくむことはあります。

 しかし、慢性心不全の患者さんには息切れなどむくみ以外の症状も現れますから、区別は難しくありません。息が切れるようになったり階段が上がれなくなるなど運動能力の低下と同時にむくみが見られるようになったら、直ちに循環器内科に行ってください。

 慢性心不全によるむくみは、1週間から1カ月程度と心血管疾患にしては比較的長いスパンで悪化することが特徴です。数週間にわたってむくみ、息切れなど運動能力の低下、体内の水分量が増えたことによる体重増加などの症状が見られたら、必ず循環器内科に行きましょう。

 また、やはり、心不全になると脈拍にも変化が見られます。心臓が、血液を押し出す力が落ちたことを脈拍を増やしてカバーしようとするため、脈拍が増加するのです。

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