――あなたはコンビニのない世界を想像できますか?

いまや日本の日常生活に欠かせない「コンビニ」。もしそのコンビニがなくなったとしたら……。コンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く書『コンビニが日本から消えたなら』の著者で、日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が問いかける。(『コンビニが日本から消えたなら』より一部抜粋し再編集)

■カウンター周りの売り上げが4割を占めるいま、作業が多すぎるコンビニの仕事をどう見直していくべきなのか?

 フランチャイズ契約の見直しを図る一方、現場でも人手不足に対応した仕組みを構築する必要があります。

 これを実現するためには、セルフレジの導入をはじめとした機械化が必須となってくるのです。

 現在、コンビニはカウンター周りの売上だけで約4割を占めています。店内で調理するファストフードやコーヒー、たばこ、各種受け付けなど、店員の作業がカウンターに集中しています。このため、品出しや清掃といったカウンター以外での作業を進めづらくなっている。この負担を少しでも減らすため、将来的に機械で処理できる作業は、すべて機械に任せるような体制を築くべきなのです。

 つまり、目指すべきは「AI&機械」と「人」による分業制です。そして、最終的には人が行うべき作業をも分業していきます。

 そもそも、コンビニの作業は多すぎるのです。当初こそレジ、品出し、発注、清掃といった一般的な作業のみでした。しかし、お客様のニーズをことごとく叶えていったのがコンビニなのです。宅配便の受け付けや店頭受け取り、予約販売、チケット販売、公共料金の収納、インターネット通販の受け取り、オークションサイト商品の発送、ファストフードの調理......など、いまや憶えるべき作業は1200種類とも言われています。こうした膨大な作業がアルバイト離れを招き、人手不足の一因となったのも否めません。だからこそ、負担を減らすためにも作業を分業するのです。 

 たとえば「清掃専門のアルバイト」がエリア内の複数店舗を担当する。これは、専門の派遣会社が業務を請け負うなど、 複数店を経営するオーナーであれば、いますぐにでも実現可能な分業です。また、業者から納品される時間帯のみに在駐し、複数店舗を回る「品出し専門のアルバイト」も良いでしょう。短時間の単純労働になる場合もありますが、これぞまさしく働き方改革です。労働者が多様化するなか、短時間労働のニーズも増えています。

 とくに、長時間労働に不向きな高齢者向けの、貴重な雇用機会の創出にもつながります。内閣府「平成30年版高齢社会白書」によれば、2008年からの11年間で高齢者の就業率が伸び続けています。65〜69歳の就業率は36.2%から46.6% で、70〜74歳は21.8%から30.2%。いわゆる「余生」が延びるなか、たとえ金銭的な余裕があったとしても、社会との繋がりを求めて働き先を探す高齢者が増えているのです。

 シニア層の活用はコンビニ各社が検討していますが、先述の通り作業量の多さがネックとなり、積極的な採用には至っていません。人手不足解消と効率化を図るため、分業制を進める必要があるのではないでしょうか。