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「教員不足」の異常さに慣れてはいけない

【第12回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■非常事態レベルの教員不足が常態化している

 教員採用試験の競争倍率が低下していることを受け、「教員の質が下がる」と文科省も教育委員会も大騒ぎする。その一方で、深刻な教員不足が起きている事態にはあまり触れたがらない。
 給特法を改正しても、「定額働かせ放題」を改めるどころか、それを再確認することにしかならなかった。「変形労働時間制」を導入して、忙しいときは働けるだけ働き、暇なときに休めといって、「働き方改革」だと胸を張る。しかし、暇のない教員にとってこれは「絵に描いた餅」でしかない。

 そんな状態なのだから、仕事に嫌気がさして辞める教員も増える一方だし、定年退職者の増加も相まって、ますます教員不足は深刻になっている。SNSに「うちの地域で教員をやってくれる人はいませんか」という呼びかけが流れるのも珍しくないのが現状なのだ。

 『東京新聞』(2019年10月20日付)が、「教員不足 公立小中500人 本紙1都6県」という見出しの記事を載せている。関東1都6県、計39の自治体の教育委員会を対象に、同紙が独自に行ったアンケート調査の結果記事である。
 記事は、「調査結果によると、小学校では13自治体で常勤344人、非常勤39人が不足。中学校も13自治体で、常勤83人、非常勤37人が不足していた」と伝えている。さらには、「小学校では学級担任13人が、中学校では学科担任23人が不足していた」とも伝えている。

 もちろん、教員不足は関東だけの問題ではない。
 『朝日新聞』(2019年8月5日付)も「公立小中、先生が足りない 全国で1241件『未配置』」という見出しの記事を載せている。
 記事は、「教育委員会が独自に進める少人数学級の担任や、病休や産休・育休をとっている教員の代役などの非正規教員が見つからないためで、朝日新聞が5月1日現在の状況を調査したところ、1241件の『未配置』があった」としている。さらに、「学校では教頭が代わりに授業をしたり、少人数学級をあきらめたりしており、教育の質にも影響が出かねない」とも述べている。
 

■非常勤講師は現場を救えるのか

 もはや、これは「非常事態」である。
 『朝日』の調査によれば、教員不足には地域によってバラツキがあるようで、その理由を「非常勤講師の使い方に差があるためだ」としている。
 そして、記事はこう続ける。
 「常勤講師が見つからない場合、非常勤講師をあてるかどうかは教委によって異なり、調査では47教委が「非常勤をあてた」と答えた。一方、熊本、茨城両県のように、『非常勤講師をあてない』と答えた教委は、未配置が増える傾向にある」

 これでは「未配置は非常勤講師を活用していないから」だと聞こえる。同記事の説明によれば、非常勤講師とは非正規教員のなかでも「パートタイム」の講師だそうだ。つまり、必要なときだけ雇える非正規教員ということになる。
 パートタイムを活用しないから未配置が増える、というのは、まるでコンビニの経営のようでもある。人手不足は、コンビニにとって常態化した課題になってしまっている。その原因のひとつは、賃金の安さだ。

 人件費を抑えることを重視するコンビニは、もともとがパートやアルバイトへの依存率が高い。人件費を抑えるための低賃金だが、それではパートやアルバイトへの応募は減る一方なのだ。それでも賃金を上げる方向へはいかず、外国人労働力に依存する傾向を強めているのは周知の通りだろう。
 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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