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「ヒモ体質」な男は見た目でわかる!?
~人気女性ライターが感知した“あかん男”たち~

クズではないけど、第六感の危険信号を刺激してくる男たち

 ピッタピタトップスの件を脳内にインプットした後のこと。喫茶店で原稿を書いているときに、また怪しい男性に遭遇した。

 18時を過ぎると、喫茶店の人間模様は一気に楽しくなる。仕事を終えて待ち合わせをするカップルが増えるからだ。でも店柄なのか来店するのは、中年カップルが多い。でも皆一様に、ウキウキしながら入店してくる。職場恋愛、不倫、友達以上恋人未満という多種多様な組み合わせが店内に蔓延してくる、個人的に人間ウォッチングのゴールデンタイムだ。

 

 その中にときどき席が隣になる、椿鬼奴に似た女性がいた。

「あ、こっち、こっち!」

 とある日、連れ合いの登場に鬼奴が声をあげた。チラッと横目で見ると……顔色の悪そうな細い中年男性が、ピッタピタの黒のVネックロンTを着ていた。ボトムは黒のスリムパンツだ。原稿そっちのけでふたりの会話を聞いていると、彼は中年にもかかわらず、バイトをしながら下北沢で活動するバンドマンらしい。そして鬼奴は会社員だ。

「俺、こんな美味いコロッケバーガー食べたことないよ!」

 という、彼の一言にゾッとした。私も食べたことはあるけれど、そんなに美味いジャンクフードではない。ひょっとして彼女を自分の手中に収めるための演出なのだろうか。

 それから何度かふたりを店で見かけたけれど、支払いはいつも鬼奴だった。なにやら彼に封筒を渡している時もあったので、ライブのチケットを買っていたのかもしれない。いや、ひょっとしたら生活費を渡していた可能性もある。

 でも彼女はいつも満面の笑みで、彼と向かい合って座っていた。そして彼のコーディネートは決まって、黒VネックのピッタピタTシャツだ。他に所持しているアイテムはないのだろうか?

 筋肉が盛り上がったボディを強調するタンクトップ姿であれば

「(ああ、鍛え上げた体を見せたいんだよね)」

 納得がいく。でも痩せた体を見せることが、着用している本人に対してどんな特典があるのかは甚だ疑問だ。

 ピッタピタトップスで連想すると、鬼奴の(勝手に)彼氏と同じく、バンドバンを思いつく。かつて話題になった、恋人にしてはいけない職業の『3B男(バンドマン、美容師、バーテンダー)』の一種だ。悲しいけれど、3職種とも魅力がある。

 私の脳内では、喫茶店で音楽について語る彼と『3B男』の言葉がついリンクしてしまった。

 初デートで相手がピッタピタのトップスを着てきたら、一旦は注意を払ってほしい。あなたの財布は狙われているかもしれない。

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小林 久乃

こばやしひさの

ライター/編集者/クリエイティブディレクター/撮影コーディネーター

地元タウン誌から始まり、女性誌、情報誌の編集部員を経てフリーランスへ。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事も持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には10万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。著書『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)が好評発売中  

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