――あなたはコンビニのない世界を想像できますか?

いまや日本の日常生活に欠かせない「コンビニ」。もしそのコンビニがなくなったとしたら……。コンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く書『コンビニが日本から消えたなら』の著者で、日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が問いかける。(『コンビニが日本から消えたなら』より)
著者/日本一のコンビニ流通アナリスト 渡辺広明氏が実話を語ります!!

 時代とともに、人が求める需要も移ろい変化していくものです。ビジネスの世界では、この変化する欲求に歩調を合わせ、柔軟に戦略を立てていかなくてはなりません。

 いまの時代は、生産年齢人口の減少に伴う省人化や効率化、高齢化社会に対応するシニア層へのサービスや商品開発、24時間問題で顕著となった働き方改革へ対応すること、食品ロスを抑え環境対策に取り組むこと。こういった日本社会の問題を解決するコンビニでの施策が利益を生み出す戦略であると、『コンビニが日本から消えたなら』の第1章で述べてきました。

 ここでは、少し時代を遡って、コンビニが世界最強の小売業として成長していった時代、1998年頃のお話をしましょう。

 当時は、何よりも欲しいものをいますぐ手に入れたいという、緊急購買への欲求がコンビニに求められていたのです。

 時代は変われど、その時の課題を解決することこそ、ビジネスチャンスとなることに変わりはありません。

 いつの時代も、皆さんの働くモチベーションを上げるきっかけは、「課題を解決する」ってところにあると思います! 

 

流行りのものは見逃さない!

 90年代後半、当時のコンビニは「定価販売だけど深夜でも営業しているから、いざというとき に便利」という〝緊急購買〞の位置づけでした。しかし、私は緊急購買以外の売り 場づくりも必要だと考えていました。その上で、エンタメ商品の充実は欠かせない要素だったんです。

 そんな折、流行の兆しを見せていたのがミニテトリスです。

 1996年、「みに・テトリン」というキーホルダータイプの小型ゲーム機が発売されました。いわゆる〝落ちゲー〞の元祖「テトリス」と同内容のゲームが内蔵されていて、これが若者を中心にブームとなりました。類似商品も続々と登場し、 これら小型ゲーム機の総称がミニテトリスというわけです。

 私は、このミニテトリスをローソンでも扱うことに決めましたが、販売するにあ たって、ひとつ問題がありました。

 というのも、ミニテトリスって「テトリス」の 〝パチモノ〞なんですよ。当時、ローソンは任天堂と組んでゲーム機を売ろうという取り組みを行っていた時期で、「テトリス」は同社が販売権を持っていました。 そんな状況下でローソンが「テトリス」のパチモノを売るなんて、任天堂としては看過しがたい話ですよね。

 でも、そこは任天堂担当の上司が掛け合ってくれて「まったく別の名前で売るから見逃してくれ」と話がまとまったわけです。