――あなたはコンビニのない世界を想像できますか?

いまや日本の日常生活に欠かせない「コンビニ」。もしそのコンビニがなくなったとしたら……。コンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く書『コンビニが日本から消えたなら』の著者で、日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が問いかける。(『コンビニが日本から消えたなら』より)

■「数字」で見る日本社会の問題とコンビニの強み

 

■コンビニのない世界を想像できますか?

 高校3年まで家事全般は母親任せだった浜松の田舎育ちの私が、東京の大学に進学を機に上京することになり、一人暮らしのワクワク感と不安がまじった心持ちだったことを憶えています。母親も同様だったようです。

 そんな不安を一変させた親父の一言、

「住む所の近くにニコマートって24時間開いてる店があるから大丈夫じゃないか」

 確かに、その後の10年近く続く一人暮らしはもとより、いまに至るまでコンビニのおかげで不自由なく便利に暮らすことができています。そして外国に行くとそのありがたさを痛感します。

 誰もがたとえ1人でも快適に暮らすことができる世の中になったのは、まさにコンビニが大きな役割を果たしたからなのではないでしょうか?

 同時に、未婚化を加速させた戦犯かも。いまでは高齢者世帯の拠り所にもなっています。

 セブン-イレブンのTV CM のキャッチコピーが「開いててよかった」から「近くて便利」へと変わり、国民にとってなくてはならない、空気や水のような存在に昇華したコンビニ。

 まさに日常を支える店に生まれ変わっています。

 しかしながら、人手不足も深刻化して、都内のコンビニでは外国人労働者なくしては成り立たないし、若年層人口の減少でアルバイトも集まらない。時給も上がっている。店舗運営を担うフランチャイズオーナーの窮地は加速しています。

 コンビニは、24時間・年中無休。

 全国で従業員が駅伝のように襷たすきをつなぎながら商売してきました。現状では襷をつなぐことは難しくなり、深夜営業や正月営業の見直しが増えていきそうです。

 そして、2020年7月のレジ袋の有料化、日々発生する食品ロス問題。人口減少社会でシュリンクするマーケットとなり、ドミナント問題も加速。

 労働者ではないと定義され、個人事業主とも一概には言えないフランチャイズオーナーに対する法規制の行く末。

 コンビニは、お客さまのニーズ・ウォンツを消費意欲を満たし続けるだけではなく、令和に入り社会的意義に立ち向かい進化する時代となりました。

 コンビニは変化対応して45年間伸び続けました。全国に5万8000店以上あるコンビニがさまざまな課題を解決していけば、自ずと日本全体が元気になっていくでしょう。

 世界最強のリアル小売業のコンビニが社会の問題を解決してさらに進化していく。すごくワクワクしませんか?

 ただし、いま必要とされている社会的課題との向き合いは、オーナー・本部ともに大変厳しい戦いとなります。そんな現状と処方箋を、日本の未来になぞらえて、皆様が感じた異論反論・斬新なアイデアで、前向きな議論が活発化する機会になれば幸いです。

 コンビニは日本の誰もが利用する、日本国民が作り上げた、世界最強のリアル小売業であり、そのことに異論を挟む人はいないでしょう。