阪神&阪急電車のミニ路線巡り(2) | BEST TiMESコラム

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阪神&阪急電車のミニ路線巡り(2)

ミニ支線を乗りつぶし、関西の紅葉名所へ

 甲陽園駅から夙川駅に戻り、ホームを歩いていると、前方右手から左手へと神戸本線の梅田方面行の電車が滑り込んできた。絶妙なタイミングである。よく考えられた列車ダイヤだと思う。ただし、乗ったのは大阪梅田行き特急電車。次の西宮北口駅に停車すると十三駅まで停まらない。目指す塚口駅は通過だが、西宮北口駅で各駅停車が待っているので、これまたスムーズな乗り換えである。
 西宮北口駅で、降りたホームの反対側で待っていた各駅停車の大阪梅田行きに乗り換えると、電車は特急のあとを追うようにすぐに発車した。武庫川を渡り、高級住宅地で有名な武庫之荘駅に停車する。その次は、もう塚口駅。わずか5分だった。
 塚口駅で降りると、これまたホームの反対側に伊丹行きの電車が発車を待っていた。ずいぶん幅の広いホームだなあと思っていたら、梅田方面に進むにつれてホームが狭くなっていく。デルタ状の珍しい形状のホームである。
 これから乗る伊丹線の電車は4両編成。これまで乗車したミニ路線は、すべて車掌のいないワンマン運転だったが、伊丹線は短い路線にもかかわらず車掌がいた。昼下がりなのに結構混んでいて、のどかさとは程遠い。都会の路線である。

伊丹駅ビル内

 発車すると、急カーブしているホームをゆっくりと離れ、そのまま右へ右へと曲がっていく。駅を出たところで複線となり、その後は、ほぼ一直線に北上する。周囲は住宅地だ。次の稲野駅を出ると山陽新幹線の高架下をくぐり、新伊丹にも停車し、勾配を駆け上がると早くも終点の伊丹駅だった。乗車時間は6分で、やはりあっけない。伊丹駅は近代的なビルの3階にあり、おしゃれな吹き抜けにあるエスカレータを降りて地上に出る。これまで乗ったミニ路線とは一線を画するような堂々たる都会の駅ビルでリータReitaと名乗っている。駅前にはバスターミナルもあり、JR伊丹駅方面へ向かうバスも発着していた。JR福知山線の伊丹駅は、やや離れたところにあり、歩くと10分ほどかかるのだ。

阪急伊丹駅は商業施設の中にある

 ちょっと一息ついた後、阪急の伊丹駅から折り返し塚口駅へ戻り、大阪梅田行きの各駅停車に乗って3つ目の十三へ。今度の乗車時間は8分だった。この駅で宝塚本線に乗り換えるのだが、降りたホームの反対側が宝塚線乗り場とはスムーズだ。十三駅は何回か通っていたけれど、乗り換えたのは初めてだった。

阪急宝塚本線の急行

 ほどなく急行宝塚行きが到着。阪急宝塚本線に乗ったのは、小学生の夏休みに大阪在住の叔父や祖母、母と一緒に宝塚へ遊びに行って以来だから、実に半世紀以上の時が流れている。車窓はほとんど覚えておらず、初めて乗る路線のようである。豊中付近の高架も、おそらく前回乗車時は完成していなかったであろうから、初体験といっていいであろう。もっとも、ロングシートの車内で、そこそこ立っている人がいるので、じっくり車窓を眺めることはできなかった。

阪急箕面線

 十三駅から豊中駅まではノンストップ。その後、終点の宝塚駅までは各駅に停車するのは半世紀前と同じだ。豊中駅から2つ目が石橋阪大前駅。2019年10月1日に石橋駅から改名されたばかりだ。ここで、ミニ支線の箕面線に乗り換える。半世紀前の記憶はほとんどないと書いたが、わずかながら石橋駅(当時)の箕面線の行き止まりホームが斜めに伸びていたことだけは妙に記憶に残っていた。鉄道のことは一生懸命見ていたからであろうか?もっとも、2つの線路が行き止まりだったと思っていたが、宝塚本線とつながっている分岐線のホームは複線で向かい合わせ、その隣に1線だけのコの字型の行き止まりホームがあった。こうした造りは、そうそう変わっていないはずだから、2つの乗り場をごっちゃに記憶していたのであろう。
 線路下の連絡通路を通って箕面線ホームに向かい、到着したばかりの折り返しの電車に乗る。先の伊丹線と同じく4両編成で車掌も乗っている。箕面線の周囲も、予想に違わず住宅地で、3つ目の箕面駅まで6分。やはり、あっけない。

阪急の箕面駅前

 箕面といえば関西では紅葉の名所である。東京でいえば高尾みたいなところだろうか?箕面駅に到着すると、折り返しの電車に乗ってくるのは、通勤通学客というよりは行楽客が多い感じだった。改札口をでて振り返ると、ちょっと洒落た駅前で、駅舎の片隅には足湯がある。ただし、建物の中にあるようで、外からは覗けないので、足湯を楽しんでいる観光客の姿が見えるわけではない。

エレベータが目立つ箕面のホテル

 これまで、順調に「乗り鉄」をこなしてきて、やや時間に余裕があったので、駅前から延びている箕面滝道を歩いてみた。ゆるやかな登り坂になっていて、両側には土産物屋が並んでいる。周囲の景観から浮いたようなエレベータ塔のある観光ホテルを過ぎるあたりから紅葉が目に付くようになってきた。遊歩道の左手に箕面川が現れ、やがて橋を渡ると川は右手に移る。紅葉や黄葉が美しいものの、最盛期を過ぎたせいか、今年の色づきがあまりよくないせいかはわからないけれど、今一つ感は拭えなかった。時間の制約もあったので、滝までたどり着く前に折り返して箕面駅に戻った。

箕面の紅葉

 この日は、結局、阪神武庫川線にはじまり、阪急今津線の今津~西宮北口間、阪急甲陽線、阪急伊丹線、阪急箕面線と乗りつぶした。いずれも小さな路線ではあるけれど、一定の利用者がいて、本数も阪急は10分間隔で便利だ。大都市圏ということもあるけれど、全国的には支線の状況が思わしくない現在、けなげに走っていて好感が持てる。本線とは異なる味わいのあるミニ支線は、関西圏だけをとってみても意外に数が多い。また、機会を見つけて、今回乗れなかったミニ路線を制覇したいと思う。

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野田 隆

のだ たかし

日本旅行作家協会 理事

1952年名古屋生まれ。日本旅行作家協会理事。早稲田大学大学院修了。 蒸気機関車D51を見て育った生まれつきの鉄道ファン。国内はもとよりヨーロッパの鉄道の旅に関する著書多数。著書に『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている~鉄道旅行再発見』(平凡社新書)『定年からの鉄道旅行のススメ』 (洋泉社新書) 『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)『愛知県 駅と路線の謎』(洋泉社新書y)など。



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