阪神&阪急電車のミニ路線巡り(1) |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

阪神&阪急電車のミニ路線巡り(1)

乗車まもなく終点!? 関西の「盲腸線」

阪急今津線ワンマン電車

 その次の今津駅で下車。ここで阪神電車とは別れて、阪急今津線に乗る。やや離れているものの、案内通りに連絡通路を進めば迷うことはない。建物の3階が乗り場で、今津線はここが起点だ。かつては西宮北口駅で阪急神戸本線と直角に平面交差していて、それが名物だったのだが、平面交差を解消したときに、今津線は分断され、路線の南側は途中に駅が一つあるだけのミニ路線に変身してしまった。それにしては高架で複線という立派な施設だ。電車は3両編成でワンマン運転。今津駅を発車すると、国道2号線を越えて阪神国道駅に停車する。阪神電鉄の駅みたいな名称だが、2号線の別名が阪神国道だからである。
終点の西宮北口駅まで3分。この区間もあっけなく完乗し、阪急神戸本線に一駅乗って夙川駅で下車した。ホームから階段を上下して反対側の梅田方面行のホームに移ると、直交する形で阪急甲陽線乗り場があった。ホーム1面だけで線路は右側だ。ただし、よく見ると左側の柵の向こうにも線路がある。そちらは行き止まりではなく、手間で急カーブして神戸本線につながっている。阪神も阪急も本線と直交する支線の線路を秘密のルートでつなげていて興味深い。

夙川駅の甲陽線ホーム、右が神戸本線への連絡線

 甲陽線は昼間でもきっかり10分間隔で利用しやすい。今津線と同じタイプの電車で、やはりワンマン運転の3両編成。こちらは単線である。昼下がりなのだろうか、車内はガラガラだった。住宅地の中を進み、右手には駅名にもなっている夙川沿いの公園が見えてきた。大きな家が多いせいかゆったりした感じで、緑も多く気持ちよい。このあたりは関西有数の高級住宅地なのだ。

夙川駅の甲陽線ホーム、右が神戸本線への連絡線

 運転台すぐ後ろの席に座っていると、前方に電車が見えてきた。正面衝突するのでは、と驚いていると、電車は器用にカーブして左側に逸れて停車した。甲陽線唯一の中間駅苦楽園口だ。不思議な駅名だが、昭和初期にはハイカラな駅名だったのかもしれない。下手にカタカナ名にするよりしゃれていて、長持ちしそうな固有名詞である。

甲陽園駅に到着する電車

 やがて両岸を緑で覆われた夙川を渡り、ゆっくり進むと右側に池が見えてくる。それを避けるように左にカーブして速度を落とすと、早くも終着駅の甲陽園。この路線も乗車時間5分だった。こじんまりとしたレトロな駅舎は近畿の駅百選に認定されたものだ。行楽地の駅みたいなのは、戦前は温泉地だった名残であろう。今は純然たる住宅地だが、線路の果てた先には山が聳えているので、遠くまで来てしまったという錯覚に囚われてしまう。

阪急の甲陽園駅

 阪神と阪急のミニ路線巡りは、まだまだ続く。

 

オススメ記事