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オタクだってカリスマになれる?

「文化的ヒエラルキー」の時代の生き方

■パンピーは自分を「盛ら」ないと生きていけない

 マイルドヤンキー、リア充、オタクの下の階層に位置するのは、際だった個性のない「パンピー」、目立たない大多数の一般ピープルたちです。

 パンピーは、文化影響力の階層構造の中では、最下層の種族になります。なぜかといえば、パンピーは自分がやりたいことがわかっていないため、他人に影響を与えられないからです。

 マイルドヤンキー、リア充、オタクの分類ポイントは、本人が実際どういう人間であるのかではなく、「周りからどういうキャラとして認知されているか」にあります。

 そこでキーワードとなるのが「盛る」ということ。無個性なパンピーとして世間に埋もれることを恐れる人は、何らかの属性を「盛ろう」とします。

「子どもがたくさんいるのはとても幸せ」とか「ダチとバーベキューに行っちゃったよ」と、人とのつながりをアピールするのは、マイルドヤンキー。

「渋谷に新しくできたパンケーキ屋で、パンケーキ食べてます」と、毎日すてきな店で食事しているかのようにアピールするなら、リア充。

「俺は『ラブライブ!』に超詳しいから」とオタク趣味をアピールするなら、新オタク。それぞれ自分の現実に、マイルドヤンキーやリア充、オタクの成分を盛って、個性をアピールしているんです。 Instagram(インスタグラム)が流行っているのも、物足りない現実の生活を「盛って」アピールするためだと考えれば、理解しやすいでしょう。

 極端にいえば、何でもないパンピーのうち、家族や仲間が増えた人がマイルドヤンキー、消費するようになった人がリア充、趣味が増えた人がオタクということ。個性のアピールに成功した人にはフォロワーができ、他人に対する影響力も強くなっていきます。

 さらに、マイルドヤンキー、リア充、オタクという3つの成分を兼ね備えた人は、セレブとして認知されるようになります。ツイッターのフォロワー数でいえば、だいたい1万人以上というところでしょう。

 例えば、すごい超合金のコレクションを持っているベンチャー企業の社長はリア充でオタク。あとは、「趣味を誇れる仲間」というマイルドヤンキー成分が加われば、セレブの仲間入りですね。

 海洋堂の宮脇社長は、筋金入りのオタクの上、社員の絆も強いのでマイルドヤンキー成分もなかなかのレベル。だけど、お金を使っているアピールをしないから、ちょっと貧乏くさくて、リア充成分はあまり高くありません(笑)。実際にお金持ちかどうかというのは、リア充度には無関係です。

 あなたの趣味は、誰から影響を受けていますか? あなたの好きな映画やマンガ、お店は誰から教えてもらったものですか?

 あなたやあなたの周りの人たちが属する「文化的な階層構造」は、ちょっとした消費行動の一つひとつからわかってしまうのかもしれません。

『カリスマ論』より抜粋>

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岡田 斗司夫

おかだ としお

1958年大阪府生まれ。社会評論家。

1984年にアニメ制作会社ガイナックスの創業社長をつとめた後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。

2010年に「オタキングex」(現FREEex)を立ち上げる。レコーディング・ダイエットを提唱した『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)が50万部を越えるベストセラーに。

その他、多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越える。

近著に『カリスマ論』(ベストセラーズ)がある。


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