●安倍内閣高支持率の本当の理由とは?

田原・・・僕は安倍内閣はモリカケ問題が発覚したあたりで終わっているーーと見ている。それなのに安倍内閣は、なぜこれほど長く続いて、しかも支持率が下がらないのか、さっぱり理解できない。内閣支持率は歴代政権を見ていても悪くないんだよね。
  本当に、何でこれほど高い支持率が保たれているのか、不思議でならない。

望月・・・一つは、特捜部が全く政権の不正を捜査する力が働かなくなり、機能し

門柱に、瑞穂の國記念小學院(安倍晋三記念小学校)の表札が納まることはなかった。『THE 独裁者』(KKベストセラーズp102より)               c) Yoshiro Sasaki 2018

なくなったことだと思います。安倍政権にとって全く怖くない存在になってしまったんではないでしょうか。森友問題の改ざんの捜査はしたけれど、全く事件化せず、官邸や佐川宣寿元理財局長の処分は曖昧なままでした。

田原・・・不起訴だよね。起訴したらいいのに、なぜ出来ないのか?

望月・・・別名〝安倍晋三記念小学校〟とも言われた瑞穂の國記念小学校となった国有地売却に関する公文書で、文書改ざんが始まりました。
 この取引について、官邸と菅さんの議員事務所では、太田允理財局長、改ざんを首謀したといわれる中村稔理財局総務課長(当時)、直属の上司であった佐川宣寿理財局長らが説明に来ていたわけです。財務省は「何も問題ない」と菅氏に説明していたとのことですが、改ざんの直前に2回にわたって行われた菅事務所でのやり取りについては、メモも会議録も一切ないと答弁していました。
 しかし、その数日後に、中村稔理財局総務課長が、安倍さんと昭恵夫人、麻生大臣など政治家やその関係者のリストを作成しました。中村課長は、首相や夫人の名前が入ったリストをもとに削除を指示、近畿財務局職員は、改ざんのために日曜出勤まで強いられています。
 特捜部が本気ならば、中村課長が作成したリストを含め、官邸からどんな指示が出ていたのか否か、ある程度は解明できたはずです。けれど、特捜部は改ざん事件の関係者を全員不起訴とした。改ざんを強いられた近畿財務局の職員は、報道後に自殺までしたのに、です。今の特捜部は現政権に全く斬り込まなくなりました。一体なんのための特捜部なのでしょうか。

田原・・・そういうことは、国民のほとんども分かっていると思う。僕が理解できないのは、それにもかかわらず、なぜ支持率が高いのかということ。

望月・・・確かに安定して40~50%の内閣支持率です。何か起きるたびに下がるのですが、下がっても限定的でまた持ち直す。モリカケ疑惑が過熱しているときも30%まで下がりましたが、その後、盛り返しました。
 安倍政権は、不祥事や疑惑から国民の関心を逸らすために、次々と新たなパフォーマンスを展開します。羽生結弦さんへの国民栄誉賞や、令和の元号発表など、政権支持率が低調だったところで政権延命のためのカンフル剤を打つ。平成への代替わりも菅氏の〝令和おじさん〟ブームしかり、安倍政権の支持率向上のために利用された感さえありました。れいわの祈念式典は、ワイド―ショーでも時間を割いて取り上げました。以降、じわじわそ政権支持率が回復していったのは確かです。
 今の政権は2年先、3年先のスケジュールを見ながらこのタイミングで何を発表するか、どんな行事を行うかを戦略的に考えていると思います。

 

 
田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。 1960年早稲田大学卒業後、岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、1977年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』などの番組でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。 1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学で、「大隈塾」を開講。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。 著書多数、近著は『殺されても聞く』(朝日新書)。
 
C) Yoshiro Sasaki 2019
 
望月衣塑子(もちづき・いそこ)
1975年、東京都出身。慶應義塾大学法学部卒。東京新聞記者。千葉、埼玉など各県警担当、東京地検特捜部担当を歴任。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の事実をスクープし自民党と医療業界の利権構造を暴く。社会部でセクハラ問題、武器輸出、軍学共同、森友・加計問題などを取材。著書に『新聞記者』(角川新書)『THE独裁者』『「安倍晋三」大研究』(KKベストセラーズ)『安倍政治100のファクトチェック』(集英社新書)他。