私ども「与儀美容室」は、私の祖母である与儀八重子が昭和23年に銀座で創業し、その後、母である与儀みどりが継ぎました。三代目となる私が美容室で働くようになってからは、青山や大阪に出店したり、また美容業界の方にメイクや着付けの講習をさせていただいたりと、ホテルの外にも活動を広げてまいりました。
 

 この「与儀美容室」は、日本を代表するホテル「オークラ東京」の中にあります。ホテルにお泊まりのお客さまにご利用いただくことも多いため、結婚式や、成人式など、お客さまの大切なライフイベントをお手伝いする機会も多いのです。

 そんなホテルオークラにお越しになるお客さまは、私たちだけでなくいろいろな方面のプロと長くおつきあいされていらっしゃいます。

 常連のお客さまは、何かお困りごとがあった時に「オークラに相談すれば誰かが解決してくれる」と思ってお越しになられます。ホテルの方たちは皆、基本的にサービスに慣れており、そこにはお客さまのために動くことに対して、喜びを感じる各部門のプロが揃っています。それが他の部門、部署とも連携してお客さまのために奔走しますから、問題の解決も速いのです。

 あるお客さまは、お菓子を作るのが大好きな方で、ご自身でも試行錯誤を重ねケーキやマフィンなどを作られるのですが、どうしても上手くできたかった時は、オークラ東京のパティシエに「こんな風に作りたいのだけれど、どうしたらいいのかしら?」などと相談をなさるのです。するとパティシエは「オーブンの温度は何度くらいですか?」とか「それなら、こうしたらよいのではないでしょうか?」などと細かく説明します。そうするうちにお客さまの腕前も上達していったのです。 

 そのお客さまの素晴らしいところは、それだけで終わらないところなのです。教えていただくだけでなく、海外に行ったときにお菓子をお土産として買ってきたり、めずらしいお菓子を見つけた時は、すぐに購入し、レストランのスタッフたちに「ちょっとめずらしいお味でしょ?こういうものを食べるのも、あなたたちの仕事のひとつなのよ」と言ってひとりひとりに配られ、パティシエの技術の向上をよろこんでいらっしゃるのでした。