「集団的自衛権」をはじめ、安倍政権で常に議題となっている「憲法改正」について、保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

【改憲について】

 

適菜  日本共産党はどのような政治が理想だと思っているんですか。哲人政治ですか?

清水  違います。人間は弱点もありますし、共産党だって人間の集まりですからね、完璧ではないし、間違いを犯す危険だってある。ただ、少なくとも、嘘やごまかしは許さない。最低でも憲法は守る。国民の要求によって憲法を変える場合でも、公正な手続きを取るべきだと。安保法制のときのように閣議決定で憲法の解釈を変えて、憲法違反の法律を通すのは言語道断です。

適菜  おっしゃるとおりです。だから、たとえ面倒でも国会からバカを追放する努力は続けなければならない。もっと大事なことは、国民がやりたくないことはやらないということです。余計なことをやる政治家より、なにもやらないで税金でムダ飯を食っている政治家のほうがはるかにマシです。安倍がゴルフばかりやっていることを批判する人もいますが、税金を何億円使っても構わないから、一生ゴルフだけやっていてほしい。

清水  ははは。

適菜  でも手遅れというか、日本は安保法制のときに、完全に底が抜けたんですよ。集団的自衛権とは、「ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う権利」です。普通に憲法を読めば法案を通すことができないのは明らかです。ほとんどの憲法学者が「違憲」と明言し、集団的自衛権の行使は「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と指摘しましたが当然です。仮に憲法との整合性の問題がクリアできたとしても、集団的自衛権の行使がわが国の国益につながるかどうかはまた別の問題です。国益につながるなら、議論を継続し、正当な手続きを経た上で、法案を通せばいいだけの話。ところが安倍は、お仲間を集めて有識者懇談会をつくり、そこで集団的自衛権を行使できるようにお膳立てをしてもらってから閣議決定し、「憲法解釈の基本的論理は全く変わっていない」「アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にない」「自衛隊のリスクが下がる」などとデマを流し、法制局長官の首をすげ替え、アメリカで勝手に約束してきて、最後に国会に諮り、強行採決した。仕舞いには首相補佐官の礒崎陽輔が、「法的安定性は関係ない」と言いだした。この発言で明らかになったのは、セーフティーネットで管理しながらも、建前では近代国家の体裁を整えてきたものを、かなぐり捨ててしまったということです。国家には本音と建て前を使い分けている部分がありますが、「法的安定性はどうでもいい」と言ったらお終いです。

清水  そのとおりです。

適菜  安倍は「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険」が「ない」と判断できない場合に、集団的自衛権の行使に踏み切る可能性に言及しました。明白な危険が「ある」場合、つまり「存立危機事態」に武力行使できるという話をひっくり返してしまっている。「ない」ことなど判断できないので、やりたい放題やるということです。つまり、あの時点でわが国は終わっていたのですね。

清水  あのとき、中谷元防衛大臣も、いかに憲法を安保法制に適合させていくかと言った。逆ちゃうのって。

適菜  ほとんどコントですよ。門番を雇ったから門を造るみたいな。すべて順番が逆なんです。仮に集団的自衛権が必要であったとしても、国を運営する手続きを歪めてしまったら、大変なことになる。集団的自衛権の行使が必要かどうかという話と、現行憲法に照らし合わせて合憲といえるかどうかはまったく別の話なのに、産経新聞をはじめとするバカ保守は、それを理解できないわけですね。私も平常時だと日本共産党は敵に回していたと思いますが、今は異常時です。明らかな異常事態が国の中枢で発生しているのに、メディアもきちんとモノを言わないし、異常事態が連発することにより、それがまかり通るようになっている。だから面倒だけど、批判を続けています。