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アメリカにどう向き合うのか

日本はどうする!?

日韓関係が問題になっている最近。重要なカギを握っているのはアメリカであることは間違いない。日本にとって重要な国・アメリカとの向き合い方を保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

【アメリカにどう向き合うのか】

 

適菜  『翁長雄志(一九五〇〜二〇一八年)は保守的な政治家だったから、沖縄を守ろうとしました。だから、オール沖縄という話につながった。要するにナショナリズムが機能したわけです。しかし、日本全体を見れば、ナショナリズムは壊滅状態です。だから、駐留軍は出ていけという話にはならない。なんだかんだ言って、多くの日本人はアメリカの属国でいたい。独立なんてしたくないんです。これが本音ですよ。アメリカは沖縄の負担を減らそうとしてきました。バラク・オバマも海兵隊を沖縄からグアムへ移転しようとしていたのに、米軍駐留を頼み込んだのは日本側じゃないですか。社会学者の宮台真司さんも指摘していましたが、当初は普天間飛行場の全面返還という話だけだったのに、それがなぜか辺野古移設が前提という話にすり替わった。要するに、奴隷が、ご主人様に「支配してください」とお願いしたわけです。吐き気がする。』

清水  『ひどい話です。』

適菜  『そこで、私が清水さんに聞きたいのは、日本共産党はアメリカにどう向き合うのかです。安倍が解釈変更で集団的自衛権を押し通したのは、アメリカの戦争に加担するためでしょう。安倍は「再び戦争をする国になることは断じてありえない」などとごまかしていましたが、安保法制懇のメンバーで、安倍の外交政策ブレーンの岡崎久彦(一九三〇〜二〇一四年)が、テレビ番組で「自衛隊は戦争する軍隊になりますよ」と梯子を外していたのには笑いましたが。三島由紀夫(一九二五〜七〇年)は安易な改憲により、アメリカの軍隊の下請けになることを危惧していました。「三島帰郷兵にの質問」という文章で、「むしろ私が一番疑問に思うのは、万一いま大戦争が起ったら自衛隊全部がアメリカの指揮下にはいるのではないかという危惧です。この問題については隊内のいろんな人たちとも話し合いました。私の考えはこうです。政府がなすべきもっとも重要なことは、単なる安保体制の堅持、安保条約の自然延長などではない。集団保障体制下におけるアメリカの防衛力と、日本の自衛隊の独立的な価値を、はっきりわけてPRすることである」と述べてます。湾岸戦争のときに、日本人はカネを出したが血を流さなかったと国際社会から批判されたからどうたらこうたらと、海外派兵を正当化しようとする物言いがこの三〇年蔓延ってきましたが、軍隊としての法的立場を明確にするという話と、アメリカの戦争にコミットするという話はまったく別です。アメリカの下請けになりたくなければ、独立路線をとり、重武装化しなければならないのは当たり前の話ですが、そういう議論から左翼は逃げようとしますよね。「九条を変えたら戦争になる」といったところで思考停止し、具体的に日本をどう守るのかという話が出てこない。「外交努力が必要だ」とか。だから、信用されないんです。私は改憲し軍事力は増強すべきだと思っています。そしてアメリカの戦争には加担すべきではない。国益につながるならアメリカとでも組めばいいけど、属国として下請けとして、アメリカの戦争に無批判に追従するなら、そんな国に未来はない。日本人のムダな血が流れるだけです。』

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『日本共産党 政権奪取の条件』
著者:適菜 収、清水 忠史

 

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日本共産党とは相いれない部分も多い。私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。日本共産党が政権を取る日は来るのか?本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんとわが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収
 
作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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  • 2019.07.08