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廊下橋復元のブーム到来?-前篇

外川淳の「城の搦め手」第116回

 旅の日程とすると、金沢城を訪れる前には福井城に立ち寄った。

 前日には、抜群の集客力を誇る二人組のロックバンドのコンサートがあった影響により、福井の夜の町は日曜にもかかわらず、何となくにぎわっていた。

 22時にチェックインしてから、居酒屋で越前そば。

 にもかかわらず、アルコールは一滴も注入せず。2年ほど前から、旅先では飲酒しない方が楽しい時が長く過ごせることを悟ったことによる。

 早起きして福井城の堀端を散歩する予定が、スイッチで消せない空調の音が気になって浅い睡眠。昔とは違い、ほどほどのクラスのホテルだったのだが・・。

 城内の福井県庁に出勤するお役人たちよりも早起きの予定が行動を開始した時には、お役人たちは出勤を終えたあとだった。

 現在、福井城では山里口御門の復元が進められている。詳細は下記のサイトを参照。
http://www.pref.fukui.jp/doc/sokou/kennto/yamazato.html

 城に関する情報は、中京地区出身ながら関西在住の城郭研究者のご提供により、知ることができる。福井城の場合は、崩落の危険が高い石垣の積み直しについては、認識していたが、建物の復元作業は、現場を見て知った。

 

復元工事中の福井城。日曜のため休工だったが、状況から推測すると、平日には作業の様子が遠目で確認できるかもしれない。

 かつて城の復元では、周辺を完全に閉鎖し、見学会の時にだけ見せるという安全管理が当然とみなされた。
 だが、近年では姫路城のように修復作業を見せることも観光客誘致にもなるという流れも生じつつあるようだ。

御廊下橋門。古写真や発掘調査により、復元される。

福井城本丸石垣。石垣が中央から下部にかけ。せり出している。かつては高松城や甲府城の石垣がまずい状況にあったが、積み直し作業により、崩落の危険から脱した。

 福井城の石垣は、丸岡城天守が崩落した福井地震により、大きなゆがみが生じた。
 また、福井県庁の建設も悪影響を与えたと思われる。崩落の危険については十分に認識されており、今後の展開が注目したい。

 近年では、廊下橋、または鞘橋と称される屋根付きの橋の復元がブームになっている。

全国的事例については次号へ続く。
 

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外川 淳

とがわ じゅん

1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学日本史学科卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。



戦国時代から幕末維新まで、軍事史を得意分野とする。



著書『秀吉 戦国城盗り物語』『しぶとい戦国武将伝』『完全制覇 戦国合戦史』『早分かり戦国史』など。



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