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ケルトン教授の来日を機に、日本史からMMTを考えてみました

ケルトン教授の来日に際して、中野剛志先生が緊急寄稿!

 さて、高インフレは、1970年代にも、大きな問題となりました。

 この時の高インフレの主な原因は、石油危機です。

 もっとも、1970年代初頭は、田中角栄内閣が「列島改造」を掲げて公共事業費を拡大しており、インフレ気味だったのも事実です。

 そこへ石油危機が襲いかかったので、いわゆる「狂乱物価」となったわけです。

 1973年度のインフレ率は卸売物価で22.6%、消費者物価で16.1%となり、さらに1974年度には、卸売物価で20.1%、消費者物価で20.9%にまで上昇しました。

 しかし、当時の日本政府は、この高インフレをすぐに鎮静化させるのに成功しました。しかも、欧米諸国よりも早く、鎮静化してみせたのです。

 まず、日本銀行が金融引き締めを行い、次に、政府が財政支出の繰り延べを行いました。加えて、労働組合は賃上げを自粛し、企業は経営合理化に努めました。

 当時の政府は、1975年度のインフレ率(消費者物価)を15%、1976年度には一桁台にするという目標を立てていましたが、実績はそれぞれ14.2%、8.8%と、見事にクリアしたのです。

 その後は、二度目の石油危機が起きたために、1979年頃に再び高インフレとなりましたが、これもすぐに鎮静化し、それ以降、日本経済は、今日まで高インフレを経験していません。

<参考>http://www.esri.go.jp/jp/prj/sbubble/history/history_01/analysis_01_01_02.pdf

 このように、昭和の歴史の「事実」は、「日本政府には、インフレを抑制する高い能力がある」ということを示しているではありませんか!

 さらに、平成の歴史の「事実」は、「政府債務が累積し続けたけれども、財政破綻はしなかったし、インフレにもならなかった」ということを示しています。

 このようにMMTが示しているのは、徹頭徹尾、単なる「事実」なのです。

 この「事実」に基づけば、現在の日本はデフレですから、財政赤字を気にせずに、財政支出を拡大できるということになります。

 もちろん、消費増税は、必要ありません。

 国民は、無理をして苦しい生活を耐える必要はないのです。

 それどころか、貧困対策、教育、研究開発、インフラ整備など、いろんなことに国家予算を使う余地がたっぷりあるのです。

 もちろん、デフレ脱却も実現できます。

 なんと素晴らしいことでしょう。

 

 だとしたら、どうしてMMTは、こんなにも批判を浴びているのでしょうか?

 どうして、二十年間もデフレなのに、インフレが制御不能になることを心配するなどという、恥ずかしいことをやっているのでしょうか。

 それは、MMTが示した「事実」を、国民に知られては困る人たちがいるからなのです。

 いったい、それは誰なのか。

 彼らは、どうして国民が「事実」を知るのを恐れているのか。

 その謎は、『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』を読めば、明らかとなるでしょう。

 ちなみに、本書は、陰謀説の本ではありませんよ、念のため。

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中野 剛志

なかの たけし

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)。  

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