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本当に“五十三”であってる?知ったかぶると恥をかく「東海道」

有名中学入試問題で発見する「江戸時代の日本」⑤南山中学校女子部

■旅枕は旅以外にも、普段も使っていた

 旅枕は「道中枕」とも言いました。(そのまんまですな)もうちょっと説明すると、旅枕の中に道中枕と呼ぶ種類があり、それ以外の種類もありました。主に5種類あります。

① 小型枕:これは普段家で使っているのと同じものを、携帯しやすいようにそのまま小さくしたものです。江戸初期からあった種類で、広く使われていました。主に「木枕」「箱枕」の2タイプがあり、旅以外でも湯治場・村の宿・お茶屋での寛ぎや仮眠など、普段使いもされていました。

②折畳枕:読んで字の如く、折り畳んで持ち運べる枕です。ちゃんと小さく薄くなるため携帯性も高く、やはりよく使われました。折り畳むのにもX型、Z型、ロ型、鳥居型、立ち台型など、幾つか種類があることからも、その利用頻度や需要の高さが伺えます。

③ 道中枕:なぜこの名前なのかと言うと、これぞ「旅行用!」という万能枕だからです。これを持てば、他の荷物はいらないと言っても過言ではないかもしれません。枕の中が物入れになっていて、商人や職人なら携帯用の小さい仕事道具や荷物などを、普通の旅人ならお財布や矢立など貴重品や荷物を入れることができたのです。それだけの物を入れることができるので、長期旅行の際によく使われました。でも、寝てる間に盗まれたら 素寒貧 すかんぴん になる可能性が…。やはり、お財布は別に持ちましょうかねぇ。

④ 飛脚枕:これは胴乱(どうらん=物入れの箱。特に、馬に荷物を積んで、自分も共に乗る時、とても重宝しました)だけども枕にもなるというもの。蓋には鍵がかけられるタイプもありました。

⑤ 組み立て枕:その名の通り、分解して小さくでき、使うときに組み立てる枕。その一手間が少々面倒だったのか、他の枕に比べ、あまり使われませんでした。

 他にも駄賃や宿泊費、道中の名物など書きたいことは沢山ありますが、それはまたの機会に譲るとしましょう。今回はここまで。また次回をお楽しみに~。

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瀧島 有

たきしま あり

江戸文化歴史研究家

江戸文化歴史研究家。学校や教科書が教えない、江戸の町の武家・庶民の真実の姿、風俗や文化、食べ物などを研究する傍ら、江戸文化勉強会「平成江戸幕府」を主宰。フェリス女学院大学、内閣府クールジャパン・アドバイザリーボード・メンバーなどを経て、法政大学文学部史学科に在学中。著書に『あり先生の名門中学入試問題から読み解く江戸時代』など。


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  • 2015.11.01