昭和百年、ドラマを超えた?ジェームス三木の「春の歩み」、長嶋茂雄という「巨星墜つ」の陰で転落していた大投手 2025(令和7)年その2【連載:死の百年史1921-2020】番外編(宝泉薫)
連載:死の百年史1921-2020 【番外編】2025(令和7)年その2

「その1」では、遠野なぎこと海老名香葉子というふたりの女性の対照的な最期について書いた。では、男性の死にはどういうものがあったかというと、まず触れたいのがジェームス三木(享年91)だ。
6月14日に、肺炎で他界。脚本家として数々のヒット作を残し、なかでも『独眼竜政宗』(1987年)は平均視聴率39.7%というNHK大河ドラマ史上最高の数字を叩き出した。
その一方で、もうひとつ、史上最高レベルではと思われる「記録」がある。「性豪」でもあった三木は関係を持った女性について「春の歩み」と題したノートに綴っていて、それを暴露した当時の夫人・山下典子によれば、その数は173人にものぼっていた。山下いわく、
「女性の名前は実名で、職業、年齢、そして容姿と性器にはABCでランクづけをしてあり、ジェームス三木自身が体験した、彼女たちの性器の感想まで、克明に書き込んであった」(『仮面夫婦 私が夫と別れる理由』92年)
とのこと。この暴露は夫婦の訴訟合戦に発展し、2000年には離婚が成立した。
ただ、その後、三木は再婚もしており、関係を持った女性の数はさらに増えていたことだろう。息子にまで「愛のないセックス」を勧めていたほどだから、ノートを見つけられたことは後悔していても、性豪として生きたことは誇りだったのではないか。そして、その旺盛なエネルギーと濃密な創作活動とが不即不離だったことも容易に想像できる。
そのあたりは同じく、昨年亡くなった名司会者・みのもんた(享年80)とも通じるものだ。最近では少なくなった「肉食系男性」の典型らしく、焼肉屋で肉を喉に詰まらせ、心肺停止に、という死因だった。

ちなみに、三木の出発点は歌謡曲歌手、また、みのは歌謡曲を愛する人だった。昭和歌謡の全盛期に活躍した歌手たちが次々と旅立っていったのも、印象に残る。
『潮来笠』や『恋をするなら』の橋幸夫(享年82)、『ブルー・ライト・ヨコハマ』のいしだあゆみ(享年76)、『黒猫のタンゴ』の皆川おさむ(享年62)、そして、相撲との二刀流で『そんな女のひとりごと』をヒットさせた増位山太志郎(享年76)。増位山のデビュー曲『そんな夕子にほれました』の作詞者は「その1」で触れた海老名香葉子だったりもする。また、女優や冒険家のイメージが強い和泉雅子(享年77)も、筆者にとってはベンチャーズ歌謡の『二人の銀座』(山内賢とのデュエット)が最大の功績だ。
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