ジャングリアの“金で買う冒険”ーープレミアムパス商法の欺瞞 「追加2万円払わなきゃ、何も体験できませんけど?」【林直人】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ジャングリアの“金で買う冒険”ーープレミアムパス商法の欺瞞 「追加2万円払わなきゃ、何も体験できませんけど?」【林直人】

ジャングリア沖縄

 

 

 「追加2万円払わなきゃ、何も体験できませんけど?」

 それが、今ジャングリア沖縄で繰り広げられている恐怖のリアルだ。

  広告では「大自然×冒険」をうたうテーマパーク。しかし実態は、構造的キャパシティ不足を逆手に取り、苦痛すら課金コンテンツに変えた悪夢のようなビジネスモデルだったーー。

 

◾️プレミアムパスは“優遇”ではない、“課金しなければ人間扱いされない”制度

 

 パークが誇る「プレミアムパス」は、体験価値を高めるチケットなどではない。

 むしろそれは、「課金しないと乗れない」ことを前提とした生命線である。

 たとえばーー

  「ダイナソー・サファリ」:一般客は3時間待ち、プレミアム購入者は指定時間にスイスイ入場。

  「ホライゾン・バルーン」:整理券は瞬殺だが、パス所持者は競争すら不要で体験確約。

 その価格はなんと、一施設あたり最大2,970円。

 しかも、アトラクションごとに課金が必要という、日本のテーマパーク業界でも異例の重課金設計だ。

 

◾️家族4人での「最低限の体験」すら追加22,000円

 

 ここで衝撃の計算例を紹介しよう。

 4人家族が「サファリ」と「バルーン」を体験したい場合ーー

 

  入場料:大人6,930×2 + 子供4,950×2 = 23,760

  プレミアムパス:2,970 + 2,640 = 5,610×4 = 22,440

  合計:46,200

 

 これでようやく、「最低2つ体験できる」という水準。まさに課金しなければ冒険できないパーク。

次のページ二極化する体験価値:「上客」と「雑客」の分断構造

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林直人

はやし なおと

起業家・作家

1991 年宮城県生まれ。仙台第二高等学校出身。独学で慶應義塾大学環境情報学部に入学(一般入試・英語受験)。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10 分指導するネット家庭教師「毎日学習会」を設立し、現在に至る。毎年100 人以上の生徒を指導し、早稲田・慶應・上智を中心に合格者を多数輩出している(2021 年早慶上智進学者38 名・7/20 時点)。

著書に『うつでも起業で生きていく』(河出書房新社)、『人間ぎらいのマーケティング人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)などがある。

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