1980年代にデジタルコミュニケーションの新しい表現として誕生した顔文字。(※欧米と日本での顔文字の誕生については第3回をチェック!)。欧米式の横顔文字 :-( :-) ;-P に日本式の縦顔文字 (^_^) (-_-;) (*‘ω‘ *)、そして近年人気を博した特殊顔文字 ლ(◕‿◕。)ლ ٩(๑`ȏ´๑)۶//  ( ͡° ͜ʖ ͡°) など、わずか30年で顔文字文化は著しい発展を遂げてきました。今回はそのバリエーションを詳しく見ていきましょう。〈連載「絵文字進化論」第4回・後編〉。

■1万2千個以上ある日本の顔文字

(前編)では、欧米式の顔文字は新しいものが作られなくなった、という話をしました。ところが、日本の顔文字に目を向けると、絵文字やラインのスタンプの流行もあるなか、新しい顔文字が日々生まれています。その数は驚きの1万2千個以上!

 欧米式の顔文字は横向きという特徴のため、幅に限りがあります。しかし、日本式の顔文字はスペースに余裕があって、横に数を増やすだけでも新しい表現が簡単にできてしまいます。

 笑顔を3つ並べると… 

( ^ ^)(^ ^)(^ ^ )

 顔に手を足してみると…

 (ノ^ω^)ハ(^ω^ )ノ 

 顔の後にフレーズを入れてみたり…

( ̄Д ̄つかれたー 

 こうすることで、表現のバリエーションが無限に広がるのです。

 他にも日本式の顔文字には、m(_ _)m(謝罪や感謝)、(T_T)(泣)など、日本で親しまれているローマ字を使ったものがあれば、Aをひっくり返した記号「∀」やギリシア文字のオメガ「ω」など、数学や物理学で使われる記号も登場します。

 例えば、「∀」を使う場合…

(・∀・) 

 笑っている口を表して、ポジティブな雰囲気を持たせるのに使われます。

 また、「ω」を使う場合…

(^ω^)

 こちらも喜び、笑いを表現しています。「ω」は猫の口元をイメージした形です。「かわいい!」という女性の反応もあれば、「変わった形の鼻や顎(!?)だね~」という男性や、日本の顔文字に馴染みが薄い外国人の反応もあります。確かに、位置的には鼻かなと思えなくもないですね。

 さらに、さらに。ある国の文字が、日本の顔文字パーツによく使われています。例えば、( ̄Д ̄)ゞ ъ( ゚ー^)」 щ(゚Д゚щ)に出てくる「Д」「ъ」「щ」は何文字か分かりますか? そうなんです、筆者の母語ロシア語の表記に用いられるキリル文字です。

 特にДはよく目にしますね。キリル文字のДは、ローマ字のDに対応して、デーと発音されますが、顔文字では開いた口を表すのに用いられるようです。

 ところが、ロシア人の私にとっては、これらの顔文字を初めて見た時に、Дが何を表しているのかさっぱり分からなかったのです。口だと言われて、一所懸命頑張って集中してじーっと見つめたら、ようやく何とか口に見えてきましたが、顔の部分と言えば、せめて鼻かなという感じでした。みなさんはパッと見て、何に見えますか?

 Дが入っている顔文字は、(;´Д`)(悲しみ)、(*゚Д゚*)(驚き)など様々な感情を表せるバリエーションがありますが、私自身は結局この顔文字を使いこなせるようになれませんでした(^_^;) 母国語の文字は、発音と結びついていて、イメージが固定化してしまっているため、そこから切り離して形だけで捉えるのは難しいものです。

次のページ Unicodeを使った顔文字のニューウェーブ