プーチン大統領の鉄拳外交、北方領土問題、ジャーナリストの毒殺まで、日本人から見ると、冷たくネガティブな印象を持ちがちなロシアという国。ステレオタイプはさまざまある。「ほんとうのロシアとモスクワ」シリーズ最終回は国際化への道。

■ニューロシアになれるのか

「ロシアと世界」という言葉を聞いたとき、一般的な日本人はどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。日本人からすると、ビザ無しで気軽に観光に行ける国ではなく、北方領土問題などもあって、「他国にオープン」というイメージは持ち難いだろう。

 

 本稿ではこうした古くからあるイメージを払拭したい。今年の夏に行われたFIFAワールドカップを始めとしたスポーツの分野で、選手や大会関係者は、海外メディアへ向けて、「ニュー・ロシア」という言葉を度々使った。世界へ門戸を開き、外国人観光客も積極的に受け入れる。他国にオープンな、新しいロシアを世界へアピールしたいという流れの表れだ。

 ロシア旅行業界組合のバイスプレジデント、ユリー・バルズィキン氏によると、2017年にロシアを訪れた外国人旅行者の数は、2千4百万人を超え、史上最高を記録した。FIFAワールドカップで多くの外国人がやってきた今年、この数字を超えるのは間違いなく、ロシアは益々多くの外国人旅行者を受け入れている。

 ちなみに、日本政府観光局(JNTO)発表の、2017年に日本を訪れた外国人の数は、約2千8百万人。人口1億2千7百万人の日本は、昨年、人口の2.2% にあたる外国人を受け入れた。人口1億4千3百万人のロシアは、人口の1.7% を受け入れた。「インバウンド需要」というスローガンを掲げ、外国人観光客を積極的に誘致する日本と、「ニュー・ロシア」という言葉で世界へ門戸を開くロシア。両国共に、世界へ門戸を開き、外国人観光客を増やしたいという意図を持ち、それなりの成果も挙げているようだ。

 

 ここで、日本やロシアを訪れる外国人が必ず直面する、言葉の壁についてはどうだろうか。EFエデュケーション・ファーストという、英語教育の提供と、関連調査を公表する機関が、国別の「英語流暢度ランキング」という統計を発表している。各国4百人以上が無料の英語テストを受けた結果から出した、2017年の統計によると、ロシアは42位で「中レベル」に位置し、日本は49位で「低レベル」。日本は31位の韓国、47位の中国、48位の台湾と、東アジアの隣国に僅かに劣り、ロシアは26位のリトアニア、38位のベラルーシと、旧ソ連諸国の後塵を拝している。英語力に関しては、両国共にやや苦戦している、と言える。

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