手を当てることで癒やしのホルモンが分泌する

皮膚に手を当ててなでる、さする。その行為が心身にどんな変化をもたらすかについて、身体心理学という分野で研究を続けているのが山口創教授だ。

人は体に痛みを感じると、とっさに手を当てて押さえたり、さすったりする。この本能的な行動には理由があると山口さんは言う。

「痛みを脳に伝える脊髄には、痛みをコントロールするゲートがあります。手で触れる、圧迫するという皮膚感覚が伝わると、ゲートが閉じて、鋭い痛みが脳に伝わるのを防ぐのです。これは『ゲートコントロール理論』といって、神経学的にも明らかになった痛みについての学説です」

また体を手で触れて、さすることで、皮膚感覚が脳に伝わり、オキシトシンというホルモンが分泌される。

このホルモンは分娩時に子宮を収縮させる作用があることで有名だが、脳内では神経伝達物質として、さまざまな働きをしている。

「オキシトシンは脳の興奮を抑えて心を安定させ、血圧を下げ、痛みを軽減させる効果があります」

と山口さん。痛みには不安や恐怖という感情も伴い、それが痛みを増したり、血圧を上げるという反応を引き起こす。それをコントロールして鎮めるのがオキシトシンなのだ。

 

監修/山口創さん
臨床発達心理士。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。専攻は健康心理学、身体心理学。『手の治癒力』(草思社)『幸せになる脳はだっこで育つ』(廣済堂)ほか、著書多数。


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