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日本人サラリーマンの悲劇「歴史は繰り返す」

ここだヘンだよ、日本のサラリーマン①:ドメドメ日本人の場合

■中堅になり、今度は後輩にカチンとくる。

「最近の若手を見ていると、その日の業務報告もせずに帰ってしまう子には、驚かされます。正直、ちょっとカチンとくることもあります。報告、連絡、相談、のホウレンソウは、仕事をする上での基本だと思います。まだ若いうちは、こういう基本的なことが分かっていない人が多いのかも知れません」

 自分が新人だった頃は、一日の仕事を終えて帰宅するときに、上司や先輩たちに対して気を使っていた田中さん。「ここがヘンだよ、日本のサラリーマン」というテーマに対して、真っ先にこの点を挙げた。時は流れ、30代の中堅社員としての日々を送る田中さんは、最近の若手が、一日の仕事を終えて帰宅する際の業務報告未達に苦言を呈した。歴史は繰り返す、とはこのことだろうか。

 そもそも、完全に国内完結型の仕事しかしたことがない田中さんが、何をもって「日本のサラリーマン」、或いは「日本的」、などと言うことができるのだろうか。

「確かに、日本的、という感覚は、日々の仕事で感じることはありますね。例えば、年功序列なんか一番いい例だと思います。僕の場合、マスコミ関連ということで比較的軽いのかも知れませんが、例えば製造業など、より堅そうな業界では、もっとこういう感覚も大きいのではないかと思います」

 最後に、今後転職する機会があったとしたら、日系企業と外資系企業とどちらに行きたいかと質問してみた。

「いや、それはやっぱり、日系企業ですよ。インセンティブ・ボーナスとか格好いいこと言ってますが、要するに歩合制ですよね。収入があまりにもブレるような給与体系は、困ります。やはり、安定性は大事です。この点は、日本のサラリーマン社会の、いい点だと思います」

 生粋の日本のサラリーマンとして、結局は日系企業で働くことを選ぶ、田中さん。同じ日本人でも、外資系企業で働く人たちとは、大きく違うメンタリティを持っているのだろう。

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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