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ルーズヴェルト大統領、四つの大罪

保守派から見たルーズヴェルト像 インテリジェンス・ヒストリー④

米大統領人気ランキング上位のルーズヴェルト大統領の実態とは……。驚きの真実をあぶり出す、インテリジェンスヒストリー!『日本は誰と戦ったのか』 を上梓した江崎道朗氏が日米開戦の新たな事実を語ります。  

第2次世界大戦で一番勝利したのは誰だったのか?

フランクリン・ルーズヴェルト

 ところが、共和党、特に共和党を支持する保守派から見たルーズヴェルト大統領は英雄どころか、憲法で定められた民主主義の原則を踏みにじった、とんでもない政治家です。

 第一に、ジョージ・ワシントン初代大統領が三期目の立候補を辞退したことを慣例として、合衆国大統領の任期は二期までとする「二期退職の伝統(The Two Terms Tradition)」をルーズヴェルトが破ったことへの批判があります。

 二期退職の伝統は、合衆国憲法の条文にはありませんでしたが、憲法というものは、条文、つまり憲法典に何が書いてあるかということと同時に、慣例と運用も重要です。
 二期退職の伝統は、権力の集中・独占と濫用を抑制する手段として長く受け入れられてきたものでした。

 ちなみに、ルーズヴェルトの三選・四選は第二次世界大戦と重なっていたという事情もあって、憲法上の問題はないとされましたが、戦後すぐに連邦議会で大統領三選を禁じる憲法修正二十二条が可決されています。「条文で禁じられていないのだから建国以来の伝統を破ってもいいのだ」というルーズヴェルトのような暴走を封じるために、はっきり条文で多選を禁じるようになったのです。

 第二に、大恐慌後の不況脱出のためと銘打ったニューディール政策が、民間の経済活動に政府が介入して統制する社会主義的な政策だったことです。
 ルーズヴェルトは経済を立て直すという名目のもと、「ニューディール(新規まき直し)」と称して、テネシー川流域開発公社、民間資源保存局、公共事業促進局などの機関を作り、生産・供給の統制、価格調整など、社会主義的な政策を次々と打ち出していきました。また、大規模公共事業を起こして大量の失業者を雇用しました。
 これらの政策に伴って連邦政府機関は肥大、つまり官僚が急増し、人数が増えたリベラル派の官僚たちの権限も大きくなりました。

 
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江崎 道朗

えざき みちお

評論家。専門は安全保障、インテリジェンス、近現代史研究。



1962年生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフなどを経て、2016年夏から本格的に評論活動を開始。月刊正論、月刊WiLL、月刊Voice、日刊SPA!などに論文多数。



著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)ほか多数。



 


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