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「スポーツジャーナリストにはどうやってなる?」現役サッカー選手・岩政大樹が逆取材

元サッカー日本代表・岩政がジャーナリストに逆取材-1

サッカーをピッチレベルで伝える

岩政 結局、チームも選手もサッカーも、流れの中でいろいろなことが行われていて、動いていくわけじゃないですか。そこに成功があったり、失敗があったりを繰り返していて、中にいる人間からすると「つながっている」。(メディアの多くは)外から見えるひとつのプレーや、モノを切り取るわけですけど、中の部分、ピッチレベルのことを伝えられるものってなかなかない気がするんです。

小澤 たぶん、ないと思いますね。僕の場合、結構図々しく選手に「今日の練習はこうこうだったけど、どういう意図があったんですか?」って聞きにいっていたんです。意外にラニエリは口を割らないんですけど、中には話をしてくれる選手もいました。いまサウサンプトンで監督をやっている(マウリシオ)ペジェグリーノとかですね。戦術的なこととかをふくめて、ラ・リーガのトップの選手がどういうことを考えてプレーをしているのか、勉強させてもらいました。

岩政 そうなると実際のピッチレベルに近いところで書きたい、に通じますね。

小澤 僕は選手としてのプロ経験もないですし、それに準ずるレベルにもありませんでしたけど、指導者を目指す上で、どんな形でもいいから日本サッカーのレベルアップに貢献したいなとは思っていました。だから書き手としてそこに貢献するのであれば、サッカーの本質というか、サッカーというものに徹底的に向き合って、サッカーというものがどういうものなのかをスペインのサッカーの目線で語りたい、と。ブログでバレンシアのチームについて発信していたのはそういうところです。

岩政 スペインのメディアに出ている記事の内容は日本のそれとは違いますか。

小澤 違いますね。僕は向こうがスタートラインだったので当たり前だと思っていたんですけど、スペインは2004、5年から基本的にスポーツ新聞でも一般紙でも、記者の写真入りの署名記事があります。サポーターたちは媒体で選ぶのではなく、記者の名前を信用して読む傾向があったんですね。その違いに日本に帰るたびに驚いていたくらいです。僕自身は、この流れは日本にも来るだろうと感じていたので、フリーランスとして署名入りで書かせてもらえる媒体でやろうと思っていましたし、一本一本が勝負だと今でも思っています。それは選手が一試合一試合に対して感じていることと同じで、魂を込めて丹念にやろうと考えていました。

岩政 そういう部分でスペインと日本の違いってどんなところに感じます?

小澤 スペインのメディアには、前後の検証がきちんとあります。試合前にプレビューがまずあって、そこにはデータとかレフェリーとの相性、そして監督のオフィシャルの記者会見がセッティングされる。

岩政 へえ、そうなんですか。【第二回】【第三回
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小澤一郎。
1977年9月1日生まれ、京都府出身。早稲田大学卒業後、社会人経験を経て2004年にスペイン移住。
バレンシアCFの詳細なリポートを扱ったブログが話題を呼び、サッカージャーナリストとしての活動を開始し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、「育成」を主軸にしながらも指導者目線の戦術論やインタビューを得意とする。著書に、「スペインサッカーの神髄」(サッカー小僧新書)、「ネイマール 若き英雄」(実業之日本社)、「アギーレ 言葉の魔術師」(ぱる出版/『サッカー本大賞2015』 優秀作品)など。

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