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2020年教育改革に隠れた「ゆとり教育」と同じ失敗要素

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第2回

◆能動性を押しつけてはいないか

 私には、アクティブ・ラーニングも授業が活動的、積極的なワンパターンを執(と)ることによって、「ゆとり」教育の困難さと同じ困難さがうまれる気がする。「ゆとり」教育もアクティブ・ラーニングも伝統的な一斉授業を批判して、子どもの積極的(能動的)参加と、個性の多様性を生かすことを狙いとしている。「総合的な学習」も、探究したいテーマを同じくする生徒たちが集まって、研究を進めさせようとするものである。教師は課題ややり方を提示することはない。

 内容を教師が措定しないことによって、生徒たちの個性の違い、興味や関心の異なる多様性が生かせると考えたわけである。

 だが、根本的な「知」に対する向き合い方について顧かえりみれば、授業形態にかかわらず積極的にやりたい子は積極的に、消極的にやりたい子は消極的にやるだろう。中間的な子も自分に合ったやり方をしているだろう。

 教師は役割上、生徒が積極性を持つことが望ましいと思ってはいるが、消極的でもそれなりにやってさえすれば叱ったりしない。

 ということは、アクティブ・ラーニングは生徒の人間としての根源的な多様性を認めていないことにならないだろうか。アクティブ・ラーニングの推奨者は、授業や学習で能動的であるのは人間の本質であると決めつけているのであろう。一斉授業では生徒の個性、多様性が認められないからとアクティブ・ラーニングが推し進められる。

 生徒が学習を迫られるのはやむをえないとして、日々能動性を迫られることになる。能動的でない生徒は経験上で五割以上居る。

 早くわかる子も居れば、遅くわかる子も居る。積極的に学ぶ子も居れば、消極的に学ぶ子も居る。理解できる子も居れば、どうしても理解できない子も居る。勉強の好きな子も居れば、嫌いな子も居る。

 そういう多様な生徒を一緒くたにして、「能動的学習」に追い込もうとする。それは人間の「知」の受容の自然性に沿うものであろうか。大いに疑問がある。

『教育改革の9割が間違い』より構成>

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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