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「私は母親とは違う」300万円もの借金を抱えた風俗嬢

日本の最貧困地帯 沖縄のリアル①

夜の仕事、借金…「私は母親とは違う」

 中学卒業後は、定時制の高校に入学をしたが貧しさゆえに学費を払うこともままならなくなり高校を中退。那覇市内の風俗店で働くようになった。

 10代の少女では逆立ちしても手にすることができないような大金をすぐに手にできるようになった。

 貧困から抜け出すために始めた風俗だったが、小さな頃から貧しい生活を強いられていたので、その反動から金銭感覚はどんどん麻痺していった

 洋服、美味しいご飯、タクシー…湯水のようにお金を使った。

 そして最後に行き着いた場所がホストクラブ。もうこうなるといくらお金があっても足りない。それどころか消費者金融から300万円もの借金を抱え、その額はどんどん膨らんでいった。

 現在、なつきさんは30代の後半に差し掛かっているが夜の仕事から抜け出すことができていない。それどころか、ホストクラブ通いも未だに続けている。

 一般的に夜の仕事をしているとお金には不自由していない、十分に稼いでいるというのが世間の感覚であろう。しかし麻痺してしまった金銭感覚のため借金まみれというケースは多い。とくに沖縄では、貧困の典型的なパターンだ。

 なつきさんの口癖は「私は母親とは違う」であるが、私には母親から連綿と負の連鎖を引き継いでいるようにしか思えない。

 なつきさんのような家庭状況であれば学生時代に家出をし、飲酒・喫煙がお決まりのパターンであると思われがちだが、飲酒・喫煙はお金があって初めてできることである。なつきさんは飲酒・喫煙に逃げることさえできないぐらいの貧しさであった。

※注 本文に出てくる氏名は全て仮名です。

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神里 純平

1979年生まれ。沖縄県在住の会社員。

中堅のリサイクルメーカーにサラリーマンとして勤務し、会社内から出る産業廃棄物の収集運搬やグループ内の在庫移動の業務に従事する毎日。少年の頃には紆余曲折があったが、現在は友人たちと一緒に、仕事後や休みの日に子どもたちに格闘技を指導することがライフワークとなっている。好きな言葉は「人生一生雑巾がけ」。著書に『沖縄裏の歩き方』(彩図社)がある。


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