井口資仁の素晴らしき人間性

 最後に、長年の取材を通して感じた個人的な感想だが、彼の素晴らしい人間性にも触れておきたい。

 井口は03年に、スポーツを通して社会貢献する「愛基金」という団体を設立。現在も代表を務め、メンバーには、その趣旨に賛同した川崎宗則(ソフトバンク)、杉内俊哉(巨人)、鳥谷敬(阪神)などが名を連ねている。
 主な活動内容は、病院や福祉施設の慰問、各団体への車いすの贈呈。また自然災害被災地への寄付金を募ったり、野球教室を開催したりもしている。 

 プロスポーツ選手は、子供たちが憧れる職業の一つだ。すべてのプロ野球選手が、人並み外れた血の滲むような努力の末、その夢を掴んだ。ただ、世の中には、病気や障害を抱え、どんなに努力しようとも、その夢への道のりのスタートラインにさえ立てない子供もいる。そのことを理解しているからこそ、井口は社会貢献に熱心なのだ。
 プロスポーツ選手とは、どういう存在であるべきか?

「野球が上手いとか、大金を稼ぐという点だけで、子供の憧れの存在になってはいけない」

 井口は、プロ野球選手として一番大切なことを“わかっている”選手だった。