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長期化する「休校」の現場に対して、誰が何をどう判断しているのか

【第17回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■消極的な文科省の「丸投げ」はいつまで続くのか

 こうした文科省の回答からは、放課後児童クラブを教職員に積極的に支援させよう、という姿勢は伝わってこない。むしろ、その逆である。自らの所轄ではない放課後児童クラブには積極的に関わりたくない、という姿勢しか見えてこないのだ。
 では、文科省が所轄する「放課後子供教室」についてはどうなのだろうか。3月9日付のQ&Aには、「放課後児童クラブは開所するとのことだが、放課後子供教室の実施についてはどの様に考えているか」との質問がある。

 これに対して文科省の回答は、「小学校等において臨時休業を行う場合には、当該校における活動もこれに合わせて休止していただくことが基本と考えております」となっている。学校が休校なのだから休止しろ、というわけだ。
 しかし厚労省が放課後児童クラブを開所していることを踏まえて、「放課後子供教室についても、地域や学校の実情に応じて、感染防止の措置を講じた上で実施するなど、柔軟な対応をお願いします」と文科省の回答は述べている。放課後児童クラブが開所している以上、そことのバランスから、あくまで休止を押し付けることは憚れたのかもしれない。それでも自ら判断せずに、判断は地域や学校に丸投げしている。文科省が積極的に薦めていないものを地域や学校がやるわけがない、との思惑もあるのだろうか。

 一斉休校要請での休校が続くなかで、子どもたちの「居場所」が深刻な問題となりつつある。この問題についても、文科省からは積極的な姿勢は見られない。
 Q&Aでも9日の更新で校庭開放について触れているが、「学校の校庭や体育館の開放を設置者や各学校等の判断において行うこと」について「一律に否定するものではありません」という表現にとどまっている。
 子どもたちの居場所を考えるなら校庭開放を推奨してもいいようなものだが、いまひとつ文科省の姿勢が見えずらい。

 外出しての運動についても、「大切であり」としながらも「安全な環境の下に行われる日常的な運動(ジョギング、散歩、縄跳びなど)を本人及び家庭の判断において行うことまで一律に否定するものではありません」としている。
 本人や家庭の判断を、そもそも文科省が否定していいものなのだろうか。何より、運動が大切だと考えるならば、それを行える安全な環境の提供を考えるのが文科省であってもいい気もするが、そうした検討が行われているとの情報も聞こえてこない。

 文科省のQ&Aから伝わってくるのは、新型コロナウイルス感染症対策のために自ら考えて動くという姿勢があるのかという疑問と、対応は現場に丸投げするという態度だけでしかない。そして放課後児童クラブの対応に見るられるように、教員への残業代は払わないという徹底した姿勢である。
 あらためて「超勤4項目」を眺めてみると、4の「非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等」に現在の状況はあてはまらないのかという疑問も湧いてくる。一斉休校で居場所を失っている子どもたちのために、保護者だけではなく、教員もまた動かなければならない。そうであれば、その教員が動きやすい環境をつくるのは文科省の仕事のように思える。しかし、ここでも文科省は自ら残業を命じるようなことはしないが、自己判断での仕事は丸投げし、それに対してカネは払わないという給特法そのものの態度をとり続けているのだ。

 これに、現場で子どもと向き合う教員たちは、どのように反応していくのだろうか。保護者をはじめ、いろいろなところから注目されはじめている。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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