「ごっつぁんゴール」と「スーパーゴール」 <br />得点を重ねる選手に必要な条件とは――岩政大樹が書き下ろす「現役目線」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「ごっつぁんゴール」と「スーパーゴール」
得点を重ねる選手に必要な条件とは――岩政大樹が書き下ろす「現役目線」

「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦

■続け続けて10年ぶりに生まれた「ごっつぁん」

 例えば、僕は練習から、クロスに対してニアサイドに飛び込むとき、頭を越えた場合は即座に折り返しのボールやシュートのこぼれ球に反応するためにゴール前につめるようにしています。その形から、前述したギラヴァンツ戦でのゴールが生まれました。しかし、こうした形で僕がゴールをしたのは何年ぶりだったでしょうか。記憶では10年近くなかったように思います。

 小さい頃は疑問に思っていた"ごっつぁんゴール"の価値は、プロに入りサッカーを学んでいくにつれて、とても大きなものだと知ることになりました。

 僕はプロに入り、たくさんのストライカーと出会ってきました。その中で、プロに入ってストライカーとして成功する選手とそうでない選手の分かれ目として、こうした“簡単に見える”ゴールにどれだけ執念を燃やせるか、が大きなポイントとしてあるように思います。それはつまり、「スーパーゴール」を求めない、ということです。

 サッカーにおいてスーパーゴールは常に人を魅了し続けています。サッカーの醍醐味の一つでしょう。スポーツニュースを見れば、いつもどこかでスーパーゴール集が流されます。僕たち選手もそれを見て憧れたり、練習してみたりすることは変わりません。
 ただ一方で、スーパーゴールとは、なかなか決まらない形だからスーパーゴールだということを忘れてはいけません。多く決まるような形はスーパーゴールにはならないのです。つまり、たくさんのゴール数を目指すのであれば、スーパーゴールを求めていてはいけません。

 しかし、プロに入るような選手の多くは、プロに入るまでは“スーパー”な選手だったでしょう。何人も交わしてゴールを決めたり、相手の上からヘディングをたたき込んだり、豪快なシュートもバンバン決めていたのではないかと思います。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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