日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 日本における4月は官庁や企業、教育機関で新年度を迎え、人事異動も行われ新体制でのスタートになる。そのなかで、今回は官庁に関する名字を紹介したい。国の機関と呼べるものは飛鳥時代の古くから置かれており、多くの役職が存在した。その役職名が名字として使われているのである。

 当時の省を表す名字では、中務(なかつかさ)、大蔵(おおくら)、民部(みんぶ)、刑部(おさかべ)、宮内(みやうち)、式部(しきぶ)などがある。また、その下で働く役職では、主税(ちから)、図書(ずしょ)、大学(だいがく)、雅楽(うた)、掃部(かもん)、内記(ないき)、外記(げき)、監物(けんもつ)、修理(しゅり)、采女(うねめ)、舎人(とねり)、主水(もんど)、鵜飼(うかい)、服部(はっとり)、犬養(いぬかい)など多くが存在する。

 

 今日の官庁における総理や法務(大臣)などは名字として存在しないが、各官庁の業務内容に関連して、財務省では主計(かずえ)、出納(すいとう)、金庫(きんこ)が、法務省では民法(たみのり)、登記(とうき)、氏(うじ)、父母(ふも)、養父(やぶ)が、郵政省では局(つぼね)、切手(きって)、差出(さしだし)、勘定(かんじょう)、預り(あずかり)が、厚生労働省では、救護(きゅうご)、延命(えんめい)、小児(しょうに)が、環境省では自然(しぜん)、西表(いりおもて)、珊瑚(さんご)が、気象庁では雲(くも)、曇(くもり)、時雨(しぐれ)、雷(かみなり・いかづち)、霜(しも)、北風(きたかぜ)が、裁判所では出頭(しゅっとう)、調(しらべ)、公平(きみひら)、平等(たいら)、執行(しゅぎょう)といったように数多くの名字があることがわかる。また、労働の内容に関して出張(ではり)、日当(にっとう)、出世(しゅっせ)などの名字がある。