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VIE STYLEとNTTデータ経営研究所、イヤホン型脳波計の実用研究に成功

外耳道の電極から頭皮上脳波を再構成する技術により、脳情報解読精度が向上。イヤホン型脳波計測デバイスの普及に向けて大きな前進

VIE STYLE株式会社(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役:今村 泰彦 以下、ヴィースタイル)と株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎 以下、NTTデータ経営研究所)は、従前よりイヤホン型脳波計の実用化に関する共同研究を行ってきました。 この度、EAR2BRAINというイヤホン型脳波計の信号から頭皮上の脳波を推定する技術開発に成功し、思っただけで機器を操作するブレインコンピューターインターフェース(ユーザー脳の情報を読み取りスマホやPCを操作する技術。以下、BCI)の精度を向上できることがわかりました。こうした結果により、イヤホン型脳波計が、スマートフォン操作等のインターフェースとして、またニューロフィードバックを用いた感情調整や集中力向上に向けた各種ソリューションに展開可能であることを示しています。 ヴィースタイルとNTTデータ経営研究所は、国際競争の熾烈なニューロテクノロジー分野で競争力のある次世代インターフェース技術として成長を目指すと共に、今後も脳神経に関わる次世代医療ICT・デジタルセラピューティクス技術の発展にも寄与していきます。



■背景
ヴィースタイルが開発するイヤホン型脳波計「VIE ZONE(ヴィーゾーン)」は、イヤーチップが電極となり、耳(外耳道)から脳波を取得できるウェアラブルデバイスです(図1)。


イヤホン型脳波計(In-Ear EEG)は、従来課題だった日常生活における脳波計測デバイスの煩雑性(装着するのが面倒、見た目が悪い等)の問題がなく、いつものようにイヤホンをつければ脳波を測れるという、近年注目を集めている技術です。最新の研究では、目をつぶった時に出るα波や、聴性定常反応(ASSR)と呼ばれる特定の周波数の音刺激を聴かせることで脳波がその周波数に同調する効果を外耳道の電極でも捉えられることが報告されています。※1

しかしながら、イヤホン型脳波計の実用的な事例を示す先行研究は存在しませんでした。また、電極が左右の耳の2点に絞られることから、取り出せる脳情報にも限界がありました。そこで、ニューロテクノロジー分野の事業開発を専門に手掛け、豊富な実績を持つNTTデータ経営研究所とヴィースタイルは、VIE ZONEを使ったイヤホン型脳波計の精度向上及び実用を目的とした共同研究を行いました。

■EAR2BRAIN技術
脳情報を読み取る精度を上げるための手法として近年注目されているのが、様々な脳計測装置間の信号の相互補完技術です。例えば、fMRI(機能的核磁気共鳴画像法)と呼ばれる脳計測手法は、脳の深部まで脳活動を捉えられる技術ですが、それと頭皮上脳波を同時計測することで、頭皮上の脳波から脳深部の扁桃体と呼ばれる脳領域の活動を推定する“Electrical Fingerprint”技術※2が報告されています。これにより大型・高価な装置(fMRI)を利用しなくても、脳波を測るだけである程度fMRIの信号も利用が可能となります。

我々はこのような生体信号間の相互補完技術をヒントに「耳の信号」から「頭皮上脳波」の信号を推定する「EAR2BRAIN」技術の開発に取り組み、高い精度で信号を再構成することに成功しました(図2)。

■実用研究とその結果
イヤホン型の脳波計の実用性を上げるには、実際のサービスを想定した精度検証が求められます。そこで、BCIの用途を想定し、5つのコマンド入力を頭の中で想像するタスクを課した実験を行いました。

全データの80%を利用して「ユーザーが5つのコマンドのうち何を想像しているか」を推定するモデルを学習させ、残りの20%の未学習データを対象に精度を検証しました。その結果、イヤホン型脳波計のみだと精度は70%弱(5つのコマンドを推定するため、ランダムだと精度のチャンスレベルは20%程度に落ち着く)でしたが、EAR2BRAINを利用することで、80%の精度を達成しました(図3)。この結果は、EAR2BRAINにより再構成された頭皮上脳波には、ユーザーの意図を反映した情報が含まれていることを示しており、EAR2BRAINモデルの実事業上の強みとなります。

■今後について
実用研究の第一歩としてEAR2BRAINを基軸としたBCI技術の開発を行いましたが、今後はイヤホン型脳波計の強みを活かした各種ソリューションの開発についても共同で取り組んでいきます。

1. BCI用途のソリューション開発~脳波を使った機器の操作~
イヤホン型脳波計の強みの一つは、そのインターフェースとしての手軽さです。今回の実用研究の例のようにイヤホンとして利用しながら、音楽の選曲・スマホの操作などに利用するBCIとしてのソリューション化をさらに進めていきます。

2. In-Ear Closed Loop ニューロフィードバック~脳の状態に合わせた適切なコンテンツ提供~
また、もう一つの強みが「耳に特化したクローズドループ型」のニューロフィードバックシステムを提供可能である点です。
ニューロフィードバックとは、本来自分で見ることができない自分の脳の状態を脳計測により可視化し、目的とする脳の状態に自分でコントロールすることを可能とする技術です。最近では、痛みのコントロール※3や感情調整※4などに効果があることが分かっており、従来の薬物療法では治療が難しい中枢神経系への新たな介入方法として期待されています。この技術により「耳」から脳情報を読み出し、音楽などで「耳」に情報を入力することをシンプルに一つのデバイスで提供できます。
第一弾としては、音楽の持つ感情調整力に注目し、易怒性(イライラしやすい・怒りっぽい)など本人も周りも辛く苦しんでいる領域をターゲットに、脳波を読み取り適切な音楽をフィードバックすることで、気分を落ち着かせたり・気分を落ち着かせるトレーニングを提供することを目指します。

3. ZONEインターフェース~夢中になれる状態を解析~
ZONEとは、いわゆる“夢中”になっている状態のことで、程よく難易度が高く、程よく努力ができているような状態を指します。最近の研究ではそうした状態も脳波から推定できることが分かっており※5、我々はVIE ZONEをその名の通りZONEに誘導するデバイスとして、仕事や勉強などに利用できるソリューション開発も進めます。

こうした基盤となるソリューション開発を通して、国際競争の熾烈なニューロテクノロジー分野で存在感のある次世代インターフェース技術として成長を目指すとともに、脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクスの発展にも寄与していきます。

【参考文献】
※1.Kaveh, R. et al. Wireless User-Generic Ear EEG. IEEE Trans. Biomed. Circuits Syst. 14, 727–737 (2020).
※2.Keynan, J. N. et al. Electrical fingerprint of the amygdala guides neurofeedback training for stress resilience. Nat. Hum. Behav. 3,63–73 (2019).
※3.Zhang, S. et al. Pain Control by Co-adaptive Learning in a Brain-Machine Interface. Curr. Biol. 1–10 (2020). doi:10.1016/j.cub.2020.07.066
※4.Ehrlich, S. K., Agres, K. R., Guan, C. & Cheng, G. A closed-loop, music-based brain-computer interface for emotion mediation. PLoS One (2019). doi:10.1371/journal.pone.0213516
※5.Ewing, K. C., Fairclough, S. H. & Gilleade, K. Evaluation of an adaptive game that uses EEG measures validated during the design process as inputs to a Biocybernetic loop. Front. Hum. Neurosci. (2016). doi:10.3389/fnhum.2016.00223

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