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抗がん剤治療後の髪を活かして、美の多様性を表現する「ヘアデザインによる生命のアート表現」を開催

ヘアカットにより心に宿したメッセージを記す,古民家のヘアカットセレモニー Circle in HIMEJI 2022 Sprout 

現代美術家SAYURI USHIO(牛尾早百合)は、2022年8月2日(火)、「ヘアデザインによる生命のアート表現」として、「抗がん剤治療の脱毛は美しい “隠すから魅せる”」を公開制作した。 SAYURIは、STEP BONE CUT(小顔補正立体カット/特許取得済み)考案者であり、ヘアデザイナーでもある。「ヘアデザインによる生命のアート表現」は、ワーク・イン・プログレス(公開制作)をコンセプトとし、切る人と切られる人の関係性が作り上げられるプロセスをアート作品とするソーシャリー・エンゲイジド・アートである。





■乳がんの再発を経て、変わる覚悟
この日ヘアカットのモデルとなったのは、2010年に乳がんを宣告された浦林幸代さん。幸代さんは、抗がん剤投与、そして手術ののち、放射線やホルモン療法などを受けながら、仕事にも復帰。目安としていた「術後10年、再発・転移がなければ大丈夫」の域まであと一歩というタイミングで、転移が発覚。再度、抗がん剤治療がスタートした。
頭髪が抜け落ちた頭は、ウィッグで隠した。医者には「一生、抗がん剤は手放せない」と言われた。幸代さんは看護師だ。多くの患者を見てきて、自分でも「ずっと抗がん剤。ずっとウィッグ」を覚悟していた。
一方で、まだ10代の娘二人のためにも「生きたい」という思いは強かった。免疫力を高めることなど、できることは全力でやった。その結果、腫瘍マーカーは正常値になり、2022年1月を最後に抗がん剤は一旦中止。

生えてきた髪が、ウィッグからはみ出すようになり、「髪を整えたい。でも、美容院で生えかけの髪を切ってもらうのは、気が引ける」とパソコンに向かい、「美容院」「抗がん剤治療」「脱毛」などのワードを打ち込んだ。検索の結果、SAYURIが「ヘアデザインによる命のアート表現」の一環として、がんサバイバーのヘアカットをしているという記事を見つけた。
モデル募集の条件には、「ライブ配信や写真などを公開可能な方」とある。幸代さんは「自分を見せることは、勇気が必要だった」と言うが、会場である古民家をリノベーションした『TICK-TOCK Airlineはなれ』(兵庫県姫路市紺屋町82)に現れた幸代さんの顔からは、変わる自分への覚悟が感じられた。



■そこは、切る人と切られる人が作り出すアート空間
予定の時間になると、SAYURIも幸代さんも、白い衣装をまとって登場した。SAYURIは「白は清浄な色だから。仏教儀式も白でしょ」と言う。そう、これから始まるのは、アート・パフォーマンスであり、セレモニー(儀式)なのだ。
SAYURIにとって髪は生き物であり、命だ。地球から植物が生えるように、頭から生える髪は生きている。だから、ヘアカットは神聖なセレモニーであり、命のアート。
セレモニーの始まり。SAYURIは、アロマの香りをまとい、オリジナルのヒーリング音楽を流し、鐘の音を響き渡らせる。

幸代さんの頭部から顔にかけて、STEP BONE CUT PRODUCTS(SBCP)の 生ミネラルミストを吹きかける。まるで植物に水をやるように。

頭、顔から首筋、肩まで、丁寧にマッサージしながらリンパを流していく。体に溜まった不要なものを流す浄化のプロセスだ。幸代さんの顔が紅潮し、目がひと回り大きくなる。
鏡の中の自分を見つめながら、「ずっとストレートヘアに憧れていた」と言う幸代さんに、SAYURI

は「クセは活かしましょう。生えたての毛の柔らかさも活かして、かわいい感じに」と笑う。命である髪のありのままを活かす。それが、STEP BONE CUTのアート。
脱毛後に生えた髪は、赤ちゃんの毛のように柔らかい。SAYURIは、「その柔らかさを活かして、後頭部にボリュームをつけて」と言いながら、サラサラとイメージデッサンを描いていく。スケッチブックには、パリの街角にいそうなベリーショートの女性の横顔。
「日本人は、普段なかなかベリーショートにしないでしょ?でも、ベリーショットって、すごくカッコいいのよ」とSAYURI。抗がん剤治療による脱毛後、髪が生えて数ヶ月から半年のタイミングは、ベリーショートを楽しむ絶好のタイミングだ。
ヘアカットの際は、椅子に座るのがSAYURIスタイル。なるべく髪と同じ目線になるように。なぜなら、SAYURIにとって、ヘアカットは髪との対話の時間だから。SAYURI には、髪の声が聞こえる。「髪に触り、髪を感じるから」。
髪を切りながら、SAYURIは幸代さんに話しかける。

「がんばりましたね。もう、がんばらなくて良いんですよ」
幸代さんは、それに答えて言う。

「がんばりました。転移後ここまで元気になれるとは、誰も思っていなかったので、命をもらった感覚。この1年半、ミラクルを起こしています」
SAYURIが続ける。

「今、何を一番したいですか」
幸代さんは、しばらく黙った後、答える。

「今までの人生、特に子どもが生まれてからは、自分が何をしたいか、考えたことがなかった気がします。ガンを告知された後も、命をつなぐことに精一杯で、何かをしたいというのはなくて」

「そうだ。今、体を動かしたい。好きな音楽に合わせて、思いきり体を動かしたい」
「元気な人でも、あれこれ理由をつけて、やらないですよね。いつまで経っても、本当にやりたいことをやらないで、人生を終える人もいる」(SAYURI)
「まさに私がそうでした。これからは、『やらないといけない』と思い込んでいたことをやめて、自由になりたい」(幸代さん)
SAYURIとの会話の中から、幸代さんの言葉が引き出されていく。


■ヘアカットで祝福された命が、輝きはじめる
髪を切られる立場の人にとって、その時間は、鏡の中の自分を見つめ、自分と対話する時間だ。

SAYURIは言う。「ここにいるときは、自分の中心、つまり本来の自分に戻る時間。不要なもの、思い込みの気持ち、俗世間で身につけた自分をよく見せるための飾りは、すべて不要。髪を切ることで、それらを捨て去り、真っ白な気持ちを取り戻して」
SAYURIにとってヘアカットは、命を祝福するセレモニーだ。命のありのままの姿を愛おしみながら、髪を切る。「何もかも、そのままがいい。自分の人生は自分が主人公」。
そんな言葉を聞きながら、幸代さんの顔が輝いていく。

病(やまい)と戦うのではなく、病に寄り添い解き放すためのヘアカット。髪が切られ、過去を捨て去る。身も心も解放され、軽く自由になり、命が輝く。
そのプロセスに、感動が生まれる。心を動かすものがアートだとすれば、このセレモニーは、やはりアートだ。
生まれ変わった幸代さんを見て、SAYURIは思わず「かわいい!」と声をあげる。
「心の何かが落ちてスッキリ。そしてワクワクする」と幸代さん。
以前の幸代さんは、「人を信用していない」「本心を出せていない」という自覚があった。自信も失っていた。

「家族や友達が『命を諦めなくてもいい』と言ってくれたから、ミラクルを起こせた。でも、その感謝すら伝えきれていなかった。これからは、もっと自分の気持ちを、自分自身を出したい」
「ヘアデザインによる生命のアート表現」では、ヘアカットされたモデルが、白いTシャツに言葉を記す。

幸代さんの言葉は「ミラクルに生きる!」

SAYURIとの会話の中で、自身の内側から出てきた言葉だ。
自身が刻んだ言葉を胸に写真を撮って、セレモニーは終わる。
床には、SAYURIにより切り落とされた髪が落ちていた。その屍もまた、美しい。

ヘアデザインによる命のアート表現

■「ヘアデザインによる生命のアート表現」について
「ヘアデザインによる生命のアート表現」の始まりは、ニューヨーク・ブルックリン。

「国籍、年齢、性別、障害のあるなしにかかわらず全ての制限から解放する社会実験。果敢に立ち向かっている人を応援し、障害が有るから無いの世界に挑む、心を開放する生まれ変わりのセレモニー」として制作された。
その後、山形大石田でも制作され、2022年10月には福岡八女、11月には東ヨーロッパ(ウクライナ、クロアチアほか)でも予定されている。

今後も、日本および世界各地で、ソーシャル·エンゲージド·アート(社会と深く関わるアート)の試みとして、現地で暮らす人々をモデルに行っていく。

今回のような、がんサバイバーをモデルとした「抗がん剤治療の脱毛は美しい “隠すから魅せる”」は、『TICK-TOCK Airlineはなれ』(兵庫県姫路市紺屋町82)で制作。モデルは随時募集している。
お問い合わせはこちら。
https://www.sayuri-ushio.com/ask

Back story
YUKIYO URABAYASHI  ミラクルに生きる
https://onl.bz/HW5mxvb

癌サバイバーによる “隠すから魅せる”
https://www.sayuri-ushio.com/2022hanare

SAYURI USHIO の表現手法
https://www.sayuri-ushio.com

STEP BONE CUT PRODUCTS
https://onl.bz/8mRj1Ku

一般社団法人ステップボーンカット協会
https://sbc-a.jp/

ステップボーンカットとは?
https://www.stepbonecut.jp/
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