積極財政なしには万博も成功しない!〈後編〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

積極財政なしには万博も成功しない!〈後編〉

前回の万博は「起爆剤」たりえたが…

 
 
 
 

■万博は成長をけん引できるか

 2025年5月〜11月に開催が決まった大阪万博は、2020年東京五輪が終わったあと、わが国の経済を活性化させる起爆剤となるよう期待されています。

 菅義偉官房長官は「大阪、関西圏の活況にはものすごく大きなインパクトがある」とコメントしていますし、榊原定征・経団連名誉会長にいたっては、「(万博は)日本の最重要プロジェクト。東京五輪後も持続的成長を実現するけん引力にしたい」とまで語ったと報じられました。
(URL:https://www.msn.com/ja-jp/news/national/大阪万博「風呂敷広げすぎた」松井知事が協力要請/ar-BBQ93Oq?ocid=st)

 2020年代の日本が持続的成長を達成すること自体は、むろん望ましいに決まっている。

 しかし、万博にそれだけの力があるのでしょうか?

 前編では経産省の試算をもとに、まず万博のコストパフォーマンスをチェックしました。

 結果は以下の通り。

 
(1)    万博の費用は、参加する途上国への援助を含めて約3000億円。ただし政府や自治体は、万博に「出展者」としても参加するので、そちらの負担分まで合わせると、3500億程度になると見るのが無難。

(2)    2020年東京五輪については、約8000億ですむはずの費用が、その3.75倍、3兆円を超えかねない顛末となった。くだんの比率を当てはめれば、万博の開催費用も1兆3000億円程度に膨らむ。

(3)    他方、万博による消費支出は7000億と試算されている。さらに波及効果が1兆9000億と見積もられているので、足すと2兆6000億。計上されていない項目もあるため、経済効果は全体で3兆円程度と推測される。

(4)    したがって、費用が1兆3000億になろうと万博は割に合う。会場となる人工島・夢洲の造成開発に、今までかけられた費用(1兆円)を計上したとしても同様である。

次のページ「起爆剤」論の根拠とは

KEYWORDS:

オススメ記事

佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
  • 佐藤 健志
  • 2018.09.15