■総理演説に見る認識の誤り

 前節で紹介したくだりは、失礼ながらツッコミどころ満載と言っても過言ではありません。
 この演説では、総理が「背後」を「せご」と読んだことが話題になりましたが、そんなものはご愛敬の部類に属します。

 まずは「日本自身、戦後、自由で開放された経済体制の申し子として、貿易の利益に浴し、目覚ましく成長した国だった」にご注目。
 総理の言う「経済体制」とは、第二次大戦後にアメリカ主導で形成された「ブレトン・ウッズ体制」以外にありえません。
 ところがブレトン・ウッズ体制は、「管理された自由貿易(システム)」と形容されるほど、政府による制約を許容するものでした。
 わが国が同体制の申し子だとすれば、グローバリズム全盛の現在、「自由貿易の旗手」ではなく、「政府による貿易管理の旗手」として立つことが求められているのです!!

 ついでに。
 日本が最もめざましく成長した時期、つまり1960年代の輸出依存度は、8〜12%程度で推移しています。
 ひきかえ高度成長が終わった後、1970年代後半から1980年代前半の輸出依存度は12〜15%。長引くデフレ不況にあえぐ2000年代後半以降になると、16%を超えることも起こり始めました。
 はてさて、「貿易の恩恵に浴し、目覚ましく成長した」とは、どこの国の話なのでしょう?

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