■プーチン、みごとに逆襲す!

 そうです。

 ならば、年末までに前提条件なしで平和条約を結ぼうではないかと切り返したのです。

 平和条約に基づき、友人としてすべての係争中の問題に関する議論を続けることこそ、解決を容易にするように思えるとのこと。

 プーチンの立場からすれば、もっともな話です。

 前提条件なしで平和条約を結んでしまえば、領土問題なんて永遠に棚上げできるんですから。 

 総理は完全に一本取られたわけですが、スピーチの内容を考えれば、これも自己責任というか、致し方ないでしょう。

 しかも大勢の聴衆がいる前で、ここまで返り討ちにあったにもかかわらず、総理はその場で反論しようとしなかった。

 帰国後、「北方四島の帰属を解決することが平和条約締結の基本であるのは変わらない」なる旨を述べはしましたが、こういうことは即座に言い返さなければダメなのです。

 はたせるかな、11月14日、シンガポールでふたたびプーチンと会ったときには、「1956年(日ソ)共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる」という線まで後退せざるをえなかった。

 けれども同宣言には、平和条約締結後、歯舞と色丹の二島を引き渡すと記されているだけで、国後と択捉については何も触れられていません。

 要するに北方領土問題をめぐっては、二島返還以上のことは実質的に期待できなくなってしまったのです。

 おまけにプーチンはこれについても、引き渡すことは引き渡すが、島の主権がどちらの国に帰属するかは今後の検討課題だと言い出す始末。

 そのせいか、11月22日には河野太郎外相まで、北方領土は日本固有の領土なのかという質問にたいし、「交渉の前なので、政府の考えについて申し上げるのは一切差し控えたい」と述べるにいたりました。

 向こうの術中にまんまとハマり、ズルズルと主権を放棄する姿勢を見せ始めた、そう受け取られても仕方ありません。

 遺憾ながら、わが国の完敗です。

 しかも総理は、東方経済フォーラムの直後、アメリカを訪れた際にも、同じ失敗を繰り返した!
 これについては、後編でお話ししましょう。
 ではでは♪