■抜け落ちた基本認識

 お気づきになった方も多いと思いますが、総理のスピーチからは

「北方領土問題の解決(要するに返還)が、平和条約締結の条件である」

 という基本中の基本が、ほぼ完璧に抜け落ちているのです。

 2016年12月、プーチンを長門に迎えたときに、北方四島における共同経済活動のための制度整備をめぐる協議開始や、元島民の自由な墓参の実現などを約束したとか、平和条約締結が容易でないことは互いに知り尽くしているといったくだりが盛り込まれている程度。

 それどころか、このスピーチからは「日本とロシアの国益は一致しない」という当然の認識すら、読み取ることができません。

 なにせ日本とロシアの間に永続的な安定が生まれたときの光景について、総理はこう語っているのです。

 北極海からベーリング海、北太平洋、日本海は、平和と繁栄の海の幹線道路になることだろう。

 対立の原因をなした島々は物流の拠点として明るい可能性を見いだし、日露協力の象徴へと転化するだろうし、日本海も恐らく物流のハイウェイとして一変しているだろう。

 グローバリズム丸出しとしか言いようがない!
 しかるにグローバリズムにおいては、国境や国籍にこだわるのはよろしくなかったはず。

 これで領土にこだわれるはずがありません。

 さあ、プーチンはどう応じたか?