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教員がじわじわ低年齢化。そこから透ける、教育現場の疲弊

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第15回

■「30歳未満」の比率が上昇

 もっと分かりやすい結果が、同じく2016年度学校教員統計調査に見ることができる。教員の年齢構成における「30歳未満」の比率が上昇していることだ。全体に占める「30歳未満」の比率は、公立小学校で15.2%から17.3%ととなり、公立中学校では14.0%から15.8%となっている。

 こうしたことから、若手の教員が役職に就かなくてはならない状況が生まれているといえる。それでうまくいっているのなら、問題はない。ところが、現状は違っているようだ。前述の教育委員会関係者が語る。

「経験不足ですから、仕事をスムーズにこなせません。当然、本人にはかなりの負担となります。同時に、行事の進行が遅れたりと、学校全体としても支障がでてきています」

 一般企業であれば中途採用で不足している年代層を補充することも可能だが、学校ではそうはいかない。教員には定数が決められているので、簡単には増やせない。

「非正規」という教員資格をもちながらも安い賃金で働いている教員も多いが、これを正規採用して役職を担わせることも、やろうとおもえばやれるのだが、定数が増えることになるので簡単ではない。正規1人分の予算で2人の非正規を雇ったほうが授業をこなすには楽なので、役職を担わせる正規を積極的に増やそうという流れにもならない。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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