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がんに認知症…まじめすぎる人は、健康でもソンをする!

「ストレス」が招く病気とその発散方法

■細かいことにはこだわらない

 日本人は、精緻な作業が得意で、正確さを重んじ、細やかな心配りを美徳とする民族です。ファストフード店に入っても、店員さんはていねいに接客をしてくれますし、 電車も新幹線も時間ぴったりに到着します。コンビニも、隙間なくきれいに並べてあって、製品管理が行き届いています。電気料金や水道料金も、使用量に応じてきっちり決まっていて1円たりともまけてくれませんよね。

 先日、タイからいらしたお坊さんと医師を連れて、尼崎の町を案内したのですが、 すべてのシステムがきっちり整っていることに驚いていました。こんなにもええ加減なところがない国というのは、なかなかありません。

 細かさというのは、日本人にとってお家芸のようなもの。それは美徳である一方で、 ことストレスという点では重荷でもあります。なぜなら、細かいことにこだわりすぎると、病気になりやすいのです。 

 たとえば、認知症のひとつに「レビー小体型認知症」があります。認知症と言えば、アルツハイマー型認知症が有名ですが、レビー小体型認知症は〝第二の認知症〟と呼ばれ、アルツハイマー型に次いで多い認知症です。全認知症のおよそ20%を占めていると言われています(専門家のなかには40%くらいに上ると言う人も)。

 レビー小体型認知症の特徴は、なんといっても幻視です。そこにはいない虫や人などがかなりリアルに鮮明に見えるそうです。私の患者さんのなかにもレビー小体型認知症の人がたくさんいますが、もともとの性格に共通点があるように感じています。というのは、在宅医療を頼まれて家に行くと、一瞬で「あ、レビー的だな」とわかるのです。

 ものすごく几帳面な文字でびっしりと書かれたメモが束になっていたり、机の上に 置かれたリモコンやメモ帳がきっちりとまっすぐ並べてあったり……とにかく几帳面なのです。

 若い人でもそういう人、いますよね。まじめで几帳面で細かいことにも気づくというのは決して悪いことではありません。むしろほめられることも多いでしょう。でもそれが行き過ぎていると、「将来、レビー小体型認知症になるんじゃないか……」と心配になってしまいます。

 ファストフード店が立ち並ぶ前の沖縄県が長寿県だったのは、ひとつには「なんくるないさー(何とかなるさー)」という言葉に表れているような、細かいことは気にしないおおらかな県民性に秘訣があったのではないでしょうか。一方で日本人というのは元来「なんくるないさー」精神とは反対の性質の人が多い。

 日本人古来の気質を言い当てた言葉に「森田神経質」というものがあります。簡単に言えば、ストレスをため込む、細かいことにこだわる気まじめな性格です。 日本人にはもともとそういう気質があるので、意識的にストレスから自分を解放する時間を持ったほうがいいと思います。 

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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