消費増税と「エリートの反逆」〈後編〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

消費増税と「エリートの反逆」〈後編〉

自殺を逃れようとして、別の形での自殺を選んでしまった!

■税率を引き上げても物事は良くならない!

 だとしても日本再生のために必要なのは、消費増税をストイックに耐えることではありません。この税がいかなる歴史的背景のもとに導入され、強化されていったかを振り返り、「社会の安定のための自由と平等のバランス」について、認識を新たにすることです。

 これがなされないかぎり、税率をいくら引き上げようと、物事は決して良くならない! そう断言しようではありませんか。

 いやあ、まさに時代は「平成」ならぬ「平貧」だ!

 ご参考までに・・・

 大平総理が「一般消費税」導入をめざしたのは、財政均衡にこだわったせいでもありました。政府は1975年、景気対策のため、赤字国債の本格的な発行に踏み切りましたが、大蔵大臣だった大平さんはこれに危機感を抱いたのです。

 つまり消費税は、赤字国債への拒否反応から生まれたと言うこともできます。とはいえ前編で述べたとおり、わが国の国債はすべて円建てで発行されているうえ、ほとんどが国内で消化されているので、政府の債務増加が財政破綻につながる恐れはありません。

 第一次石油危機の際には「狂乱物価」と呼ばれる急激なインフレが生じたので、債務増加によるインフレ再燃を懸念した可能性はあります。けれども大平内閣が誕生した1978年末には、財政赤字の拡大とは裏腹に、インフレは落ち着いていました。

 にもかかわらず、大平さんが赤字国債にたいし、強い拒否反応を抱いたのはなぜなのか?

 この点については、KKベストセラーズから刊行された拙著『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』で詳細に論じました。消費増税をめぐる理解をいっそう深めたい方は、ぜひこちらもご覧下さい。

 ではまた次回♪

KEYWORDS:

オススメ記事

佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
  • 佐藤 健志
  • 2018.09.15