有名列車に隠れる「汎用特急」に乗って大阪まで懐かしさ漂う旅へ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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有名列車に隠れる「汎用特急」に乗って大阪まで懐かしさ漂う旅へ

風情や歴史を感じさせる列車旅

■田園風景が映る車窓

 周囲はすっかり山岳地帯だけれど、複線で急カーブはないので、電車は100キロ前後の速さで気持ち良く走っていく。やがてトンネルが増えるものの、減速するでもなく、ぐんぐんと関西地区へ向かって駒を進める。
 長大な新青山トンネルで布引山地を一気にくぐり抜け、盆地にさしかかると名張に停車する。まだ三重県ではあるけれど、名古屋圏から関西圏に変わる。このあたりからは大阪へ向かう人も多いだろうと思ったのだが、一人乗ってきただけ。車内は空いた状態で先を急ぐ。
 赤目四十八滝の最寄り駅赤目口を過ぎると再び山岳地帯に突入する。宇陀川を何回も渡るうちに奈良県に入り、女人高野の名で知られる室生寺の最寄り駅室生口大野を通過する。しばらく山あいを走り抜け、ビルが目につく市街地に差し掛かると宇陀市の中心榛原を過ぎ、榛原トンネルを通り抜けると、再び山間部となる。起伏ある田園地帯に点在する農家をやや高いところから俯瞰する車窓は見ごたえがある。

長谷寺~大和朝倉間の車窓

 ボタンをはじめさまざまな花が咲き誇り、源氏物語や枕草子ゆかりの長谷寺。その名を冠した駅を通過し、しばらく山の中を走って短いトンネルを抜けると、次第に人家が増えてくる。高架に駆け上がり、左下にJR桜井線のホームや構内が見えてくると通過するのは桜井駅だ。遠い昔、母に連れられて2階建てビスタカーに乗って名古屋と大阪を行き来したとき、ツートンカラーのディーゼルカーが見えてくると山越えが終わったことを実感したものだった。現在は電化されている桜井線。今回、電車の姿は見えなかった。

JR桜井駅を見下ろし桜井駅を通過

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