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唐船山台場はパラダイス?

外川淳の「城の搦め手」第74回

■唐船山台場現況

 史跡案内板があっても、台場の存在は触れられていないことから、台場の土塁上に設置される「唐「船山山頂」の標柱まで到達しても、99%以上の登山者は、台場とは知らずに立ち去ることになる。

 『兵庫県の台場・砲台』の記述によると、遺構が存在することは理解できても、測量図はなく、その規模が明確でなかったのだが、現地に行ってみると、とても良好な状態にあることがわかった。

 また、この数年、夏草の枯れる時期が遅く、秋にもかかわらず、いまだ枯れてない光景が眼前に広がった。

 

■唐船山台場略測図

到着から約1時間かけて略測図を作成。ブッシュで全域を探査できないため、いつも以上のだいたいな感じの作図となる。本図の右端(南側)が遺構にあたる。このような現地での略測図を元にして、帰宅後に既存の地図と合成して清書する。城郭研究者が現地で作成する図面の一例として掲載した。

 作図と撮影を終えて下山すると、麓には海鮮食堂。

■瀬戸内海の牡蠣づくし

数年前までは、旅に出ると、名物を食べ尽そうとする気力があったが、最近は、食傷気味? おいしい牡蠣は、旅に出なくとも食べられ、ありがたみがなくなる?

 台場によっては到達するまで、汗と泥にまみれ、いばらで血まみれになり、疲労と空腹に苦しめられ、崖から転落する危険に陥ることもあるのだが、唐船山台場は、パラダイスに等しい立地環境だった。

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外川 淳

とがわ じゅん

1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学日本史学科卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。



戦国時代から幕末維新まで、軍事史を得意分野とする。



著書『秀吉 戦国城盗り物語』『しぶとい戦国武将伝』『完全制覇 戦国合戦史』『早分かり戦国史』など。



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